外資系投資銀行への道標

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外資系投資銀行への道標

外資系投資銀行への転職・就職に関する記事を書いています。

外資系投資銀行の激務と残業の実態を暴露【残業180時間の現場とは!?】

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この記事は2016年11月20日に公開され、2017年2月26日に内容が更新されています。

外資投資銀行といえば、学生の間では高給!派手!英語ペラペラ!モテる!といったイメージが先行しますが、なかでも強烈なインパクトをもつのが「激務」というフレーズでしょう。

(ちなみに私は英語はペラペラではありませんし、モテません。ネイティブの同期からは『君の英語は関西弁みたいだね』と言われたことがあります)

「実際のところ、どれだけ働くんですか?」

「ちゃんと寝てるんですか?」

その辺の質問に答えられる記事になれば良いなと思います。

労働時間は毎月驚異の350時間!

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早速結論から入りますが、投資銀行の若手バンカー(アナリスト、アソシエイト)は平日9〜27時まで働きます。早ければ25時の日もあるかな?くらいの感じです。

例えば、翌日午前にクライアントへのアポイントメントが入っている場合、アポ当日の7時くらいまで徹夜で資料を作ってファイナライズ(最終稿にすること)し、お抱えの専門印刷部隊にデータを渡して豪奢に製本してもらい、プレゼンの束をかかえながら駅にダッシュして、新幹線改札で今か今かと待機してるボスに届けるというバトンリレーが行われます。そしてまた何事もなかったかのようにオフィスに戻っていく、、、

業界ではあるあるの、日常茶飯事です。

また土日も両方休めることは実に稀で、だいたい両方もしくは片方には出社します。365日中300日は働いているでしょうか。

そうして、誇れる話ではありませんが毎月の残業時間は180時間を超えるのです。

確認ですが、あくまで「残業時間」が180時間であり、所定労働時間はそれとは別に170時間程度働いています。合計して毎月実に350時間程度働いていることになり、これは残業のない人と比べると2倍以上も長く働いていることになります。投資銀行とは「精神と時の部屋」みたいなもので、通常の2年分を1年で働いてしまう場所だということです。

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トイレで仮眠する若手バンカーたち

そういう生活をしていると、やはり圧倒的に睡眠不足となります。基本的に毎日3時間睡眠で、「徹夜明けだからよく寝てきなさい」といわれて4時間眠るという感じです。

学生時代寝つきが悪くトゥルースリーパーなんかを愛用していた私でさえ入社後はベッドインしてから一瞬で眠れるようになりました。また、通勤では人や車が前方にいないことを確認して50メートルを目を閉じて歩くということを繰り返していました。(危ないので真似は本当におやめください)

それでも圧倒的に睡眠が足りないのですが、片付けなければならないタスクは待ってくれません。そこで少しでも脳を休めるために仮眠をします。監視の目のない安心できる空間、そうトイレです。トイレの個室であればトイレットペーパーホルダーがちょうど良い高さにあるため、顔をうずめて体を固定しやすいのです。そうするとだいたい10分くらいで体勢が苦しくなってきて自然に起きてしまうというカラクリです。デスクでも可能ですが、デスクだといつ何時誰から呼び出しがあるかもわかりません。トイレの個室で強制的にノイズをシャットアウトをするのです。

新人の中にはトイレの個室で座ったまま眠るということにすぐには慣れず、多目的トイレの床に直で大の字に寝ていたというツワモノもいます。

地獄の沙汰も案件次第

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業務が忙しいのはひとえに案件が複数走っているからです。午前にバリュエーションのためのモデリングをしていたかと思うと、午後には資金調達案件で弁護士からの質問票に回答案を作成し、夕方からはクライアントの決算説明会に出席して、夜から次回の提案に向けて作成したドラフト資料についてボスからクオリティチェックを受けて、、、

案件がひとつ終わればだいぶ楽になり、そういうタイミングで打ち上げなどをやるわけですが、若手にとってはいい迷惑で、1分でも早く帰って寝たいというのが本音です。

バンカーはスタバの珈琲とレッドブル漬け

そういう状況ですから、バンカーにとって心強いのがスタバとレッドブルです。いつ何時でも眠気を抑えるためガブガブ飲みます。オフィスの自販機にも大量のレッドブルを完備しており死角はございません。

“体はカフェインで出来ている 血潮は鉄分で心は硝子”

なお、日本のレッドブルは海外製とは違って特別な成分が入っていない、ただのエナジードリンクであるということはもちろんみんな知っています。それでも飲めばなんとなく目が冴えるように感じるので、なかなか手放す気になれないという感じです。

投資銀行で激務がなくならない5つの理由

ではどうして投資銀行は激務なのでしょう。その理由を5つ挙げてみましょう。

1. 走り続けないといけないビジネスモデル

投資銀行のビジネスはM&Aにしろ資金調達にしろ、数ヶ月で案件はクローズします。次も取れる確約はなく、また案件獲得を目指して提案から始めなければならないフローのビジネスモデルです。一度受注したらしばらく食べていけるような代物ではありません。

2. 労働集約型ビジネス

投資銀行業務は究極の営業職であり、労働力への依存度の高い労働集約型ビジネスです。また、システムで代替できる業務にもあらず、どうしても人が頭を使って手を動かさないといけません。

なお、Capital IQやSPEEDAといったアナリストワークの一部を軽減するようなサービスが必須ツールとして導入が進んでいますが、それで浮いた時間でまた別のアナリストワークを任されるという状態です。

3. 資料の分厚さで勝負するボス

外資投資銀行が狙う大型案件は年に何度もあるわけではありません。また、経済環境によっても収益機会は大きく左右されます。その案件を巡って各社熾烈な争いを行います。ボスは競合に負けない提案をするため様々な切り口で分析をしたがり、いかに自分たちが最も御社のことを理解しているかを誇示しようとします。その結果、辞書のようなデータブックが出来上がるというわけです。

4. 神は細部に宿るという悪魔信仰

投資銀行の唯一の商品はプレゼンテーション資料になります。だからこそ、ここに心血を注ぐわけです。異常ともいえるその神経質さについて、具体例をいくつか見てみましょう。

ピクセル単位で指示されるロゴの位置

プレゼン資料には多くの会社ロゴや図表を挿入します。ボスはその位置について強いこだわりがあり、「あと2ピクセル左にズラして」という指示が出るほどです。

ちなみにキーボードの "←" ではピクセル単位で調整できないので "Ctrl" + "←" を使って調整します。

フォーマットで指定された色しか使えない

プレゼン資料においては使える色が会社で厳格に決められています。例えば「メインカラーは赤147:緑54:青124の色を使うように」といった具合です。メインカラーを中心に大体7、8色が指定されています。

また、一般的に強調色としては赤を使いがちですが、それでは資料全体が安っぽい印象を与えがちなため投資銀行では禁止されています。あくまでメインカラーを中心とした濃淡色を使い分けることで強弱を魅せる(見せる)ことを意識しています。

真っ赤になって返ってくるドラフト資料

資料ができるまでを少し解説すると、最初にオフィサー(ディレクター以上のボス)とジュニアバンカー(アナリスト + アソシエイト)とでミーティングをして、提案の骨子を固めます。その骨子を元に今度はアソシエイトが「このページにはこういうことを書きます」というコメントと作成担当者の名前だけを入れたドラフト(シェルと呼ばれます)を作成します。そしてそのシェルを元に、アソシエイトとアナリストが担当ページをそれぞれ作成してひとつのプレゼンを作り上げます。

できあがったドラフト資料を印刷してオフィサーに見せ、イメージと異なっていないか、分析結果から読み取れるインサイトに間違いはないかなどの確認を受けます。しかしすんなり通ることは絶対にありません。なぜなら仮説を基に分析してみたら思っていた結果と違うなんてことはよくありますし、途中でもっと良いアイデアが浮かんだから変更するケースや単にオフィサーの心変わりで修正することも多々あります。そうして赤ペンで修正指示を山ほど書き込まれた資料が返されます。返ってきた資料はコメントで真っ赤になっており、それを元にまた修正作業に入る、というフローを2回〜5回繰り返します。

書き込みだけでなく口頭で指示や補足されることも多々あるので、ジュニアバンカーは必死にメモを取りつつ修正が最小限に抑えられる形を模索し、指示が止んだらこう切り出します。

「委細承知いたしました。私から提案があります」

5. 「YES, Sir!」「Of cource!」「I'd love to!」に透けてみえるカースト制度

「日本企業は年功序列で言いたいことも言えない」

「海外企業は風通しがよくて自由闊達なカルチャー」

そんな話をたまに聞きますがこれは全く違います。少なくとも外資投資銀行においては。

外資投資銀行における身分制度は、低い順にそれぞれアナリスト、アソシエイト、ヴァイスプレジデント、ディレクター、マネジングディレクターとなっています。

一般的にディレクター以上は個室を与えられるので、別名オフィサーと呼ばれます。ジュニアたちは壁一枚の重厚感とプレッシャーを感じながら、いつか俺も個室に入るんだ!と自らを奮起させつつ業務をしています。

ジュニアがボスに対して許される言葉は3つだけ。

「承知いたしました!」「全く問題ございません!」「喜んで!」

知的体育会系と称されることもある通り、ボスの言うことは絶対なのです。

■ハードワークの代償に超高給。新卒2年目で年収1,000万円、ビズリーチ

徐々に改善されている労働環境

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そんな激務な投資銀行ですが、リーマンショック以降の市況の悪化やSNSの発達により、徐々に労働環境は改善されてきていると言われています。SNSによって記事や就活生のツイートが拡散することで次第に労働環境が明るみになり、就職希望者が減少傾向にあったり、労働基準監督署の目が厳しくなってきたためです。

今後もその傾向は続くと思われますが、その分企業側は人員を拡大したりシステム化を進める必要があり、その際のコスト負担はバンカーの給与削減で相殺する方向に進むと思われます。

■シビれる経験がしたければ投資銀行はオススメ、ビズリーチ

助けてもらえるのも実力のうち

常に激務にさらされているなかで学んだ鉄則があります。それは「人を頼る」ということです。

例えば、なるべく資料をフルスクラッチ(=ゼロから作ること)するのは避けたいので、以前に似たような資料を作ったことがないか過去資料を調べてみます。もしも似たような資料があれば、パラメータをササッと修正してプレゼンテック(簡単なエクセルやパワポワークをしてくれる外注さんたち)に依頼しておけば、最小限の手数で欲しい資料が出来上がるからです。

もしも自分で分かる範囲で見つからなかった場合、同じ部署の同期に聞いてみます。クライアントが違えど、スライドメッセージの趣旨が同じであれば過去に作った可能性が高いためです。それでもなければ別部署の同期に聞いてみます。完全オーダーメイドの資料でない限り、そこまで聞いても見つからないということはほぼありません。

このように、どれだけ人の力を借りられるかで自分の生産性が全く違うものになってきます。

最後に:死ぬほど頑張る必要なんてない

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こう言ってしまうと身も蓋もありませんが、仕事は所詮仕事です。あなたが削る命に見合う仕事かどうかを立ち止まって考えた時、一瞬でも「生活がかかっているから」「私が辞めることでチームで困る人たちがいるから」といった考えが浮かんだならば、あなたはもう転職を考える時期かもしれません。

バンカーとして3年喰らいつけたならば、あなたはどこへでも転職できるでしょう。

2年?問題ないです、世間では4年分働いたことになるのですから。

1年だったあなたは幸運です。なぜならば激務の極みを体感してから異業界に行くことは「つよくてニューゲーム」と同じだからです。あらゆる職種がぬるく感じることでしょう。

また、私が転職をする際に、恐る恐る打ち明ける私に先輩がかけてくれた言葉があります。

「辞めた後のことなんて考えるな。ここにいるバンカーはみんなそうやって、残したチームに助けられて転職してきたんだ、分かっている」

死ぬほど頑張る必要のあることなんて世の中そうそうありません。実現したいこと、大切にしたいものが投資銀行の延長戦上にないと感じた場合は、いっそ転職するという手段を検討してみてはいかがでしょうか?