外資系投資銀行への道標

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外資系投資銀行への道標

外資系投資銀行への転職・就職に関する記事を書いています。

投資銀行の仕事をわかりやすく説明してみる【投資銀行入門】

この記事は2017年2月20日に公開され、2017年5月13日に内容が更新されました。

投資銀行と聞いてどのようなイメージをもたれるでしょうか?

高給、派手、タワーマンション住まい、外資系、英語ペラペラ、激務などはよく言われています。

一方で、投資銀行の仕事はというとなかなか馴染みがなく、よくわからないという人も多いと思います。

しかしグローバル、あるいはここ日本でも、大企業やベンチャー企業を支える重要な役割を果たしているのが投資銀行です。また、米投資銀行のリーマンブラザーズに代表されるように、未曾有の金融危機を引き起こすトリガーとなるほどの影響力をもっていることも事実です。

そんな投資銀行について、やや乱暴にでも分かりやすく説明したいなと思ったのがこの記事の趣旨です。それこそ中学生でも分かるくらいに。「誰でも投資銀行のお仕事について80%くらい理解できる」を目標に書きました。

投資銀行への転職をお考えのビジネスマンや、就職活動中の大学生のお役に立てたら幸いです。

なお、投資銀行の普段の仕事ぶりについては下記の記事をご覧ください。

www.highclass-jobchange.com

投資銀行は財務のプロフェッショナル

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さて、「投資銀行」は、「投資」と名がつきますが投資をする会社ではありません。また、「銀行」ともつきますが、預金が出来たりお金を借りたりすることはできません。一般的なイメージの「投資」会社でも「銀行」でもないのです。

ではなにをする会社なのかといいますと、企業向けに財務関連のアドバイスや金融サービスを提供する会社のことです。日本では野村證券や大和証券などの証券会社がその役割を負っているケースが多いです。

では、「企業向けの財務関連のアドバイスや金融ーサービス」っていったいなんだ?という話になりますよね。大きく分けて下記の3つで、これだけ押さえれば十分です。

  1. 株式や債権などの新規発行証券の引き受け
  2. 株式公開支援
  3. M&Aアドバイザリー

下記でそれぞれ詳しく見ていきましょう。

その1. 引き受け業務

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引き受け業務とは、まとまったお金が必要な会社が、投資家から株や社債などの形で調達する際に必要となってくる仕事です。具体例でみてみましょう。

ある会社が事業を拡大しようと考えていたとします。そのためには莫大なお金が必要ですが、手持ち資金だけでは足りません。 しかし新規サービスなのでまだ実績がなく、銀行からお金を借りるのは難しい状況です。

そこで、まだ見ぬサービスに対してリスクをとって投資をしてくれる投資家からお金を出資してもらうことを考えました。 元本保証のある「債券」として販売するパターンや、成功したときのリターンは大きいけれども失敗すれば投資額は返ってこない「株式」と引き換えで調達するパターンがあります。

その際、一旦投資銀行が債券もしくは株式をすべて買取り(=引き受け)、世界中の投資家に販売するという形をとります。投資銀行は買取額と販売額の差額で利益を得ます。

それゆえ投資銀行は、一括で買い取った債券や株式を世界中の投資家にちょうど販売しきれるギリギリ上限の値段を付けるセンスが求められ、そのため財務・会計・法律の面で極めて専門的で分野横断的な知識と経験が必要となってきます。

ちなみに債券も株式も、銀行の融資とは違って直接投資家から資金を調達するので「直接金融」と呼ばれます。

その2. 株式公開支援業務

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続いては株式公開支援業務、いわゆるIPO業務です。IPOとは英語の「Initial Public Offering」の頭文字をとっており、証券取引所への「新規上場」を意味します。引き受け業務とも近い業務です。

例えばソニーやトヨタ、Google、Facebookなどの巨大企業でも、最初は小さいベンチャー企業でした。

技術やサービス内容が評価され次第に企業規模が大きくなると、一気に資金を調達して成長を加速させるステージが訪れます。

そこで、経営者は会社の株式を新たに発行し、世界中の誰でもその株式が売買ができるよう東証などの証券取引所に上場することを選択します。

上場した瞬間、世界中の投資家が魅力あるベンチャー企業の株式を買おうと応募が殺到するので、昨日まで誰も知らなかった紙(=株式)が突然数十倍、数百倍の価値に跳ね上がるため、一夜にして創業者が大富豪になるケースもよくあります。

ただ、どんな企業でも上場できるわけではありません。上場できるポテンシャルがあったとしても、上場を目指してから実際の上場承認が下りるまで3〜5年かかることもザラで、我慢強く粛々と準備を進める必要があります。

なぜそれほど時間がかかるのでしょうか?

それは証券取引所の上場審査が大変厳しいためです。 上場するということは創業者や取引企業だけでなく、世界中の投資家にも影響を与えるということです。

証券市場全体の信頼と秩序を保つため、変な会社(虚偽申告や違法なことをしている会社など)は審査で弾く必要があり、上場後も厳しい上場基準を守らなければなりません。

逆にいうと、上場するということはしっかりした会社、イケてる会社という証明を受けることでもあるわけです。

投資銀行は有象無象の中からそのようなイケてる会社を見つけ出し、様々な審査にパスできるようアドバイスをし、最終的に上場時の株式を引き受けて世界中の証券市場で販売するということを行います。

新規上場による一攫千金は創業者だけでなく、投資銀行にとっても同じです。厳しい準備期間を戦い抜いたあとの果実として、投資銀行は巨額の引き受け手数料を受け取ることができるのです。

その3. M&Aアドバイザリー業務

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最後は投資銀行の一番の花形であるM&Aアドバイザリー業務です。 M&Aとは、英語で「Merger And Aquisition」の頭文字で、「買収・合併」を意味します。

ある企業がさらに成長を加速させるために別の会社を買収するということが、日本でも一般的な企業戦略となってきました。

一方で、お金や人をその会社の得意な事業に集中するために、コアではない事業はいっそ売却してしまうという戦略もあります。

いずれの場合でも問題となってくるのは、その企業(もしくは事業)が果たしていくらなのかということです。 M&Aが活発になってきたとはいえ、通常、いち企業が買収や合併、事業売却を扱うことは稀なケースです。

一点もので極めて高額なM&Aでは、収益性の評価や法務・会計上の論点整理など、様々な専門的見地から企業価値を評価する能力や、相手方とバチバチのハードネゴシエーションができる能力が求められます。

気軽に日用品を買うのとは訳が違い、企業の担当者にそのノウハウがあることは極めて稀です。

そこで投資銀行は、企業戦略に沿って買収することでシナジー(相乗効果)が生まれる買収候補企業のリストアップから始まり、相手方との交渉の代理、企業価値の算出、買収にあたりクリアしなければならない会計上・法務上の論点の洗い出しなど、安心して買収が完了できるよう様々な面で支援を行います。

ここまで見てきたとおり、投資銀行は預金や融資を行う銀行とも、株の売買を仲介する証券会社とも異なる存在であるということがお分りいただけたと思います。

投資銀行といっても職種はさまざま

投資銀行の役割がなんとなくわかったところで、では実際に投資銀行の中でどの部門がどの仕事をやっているのかを説明していきたいと思います。

投資銀行には主に下記の3つの部署があります。

  1. 投資銀行部
  2. 資本市場部
  3. 株式調査部

以下で具体的にみていきましょう。

その1. 投資銀行部

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投資銀行部は、主にクライアント(お客さん)に上記のような提案(オリジネーションといいます)をして案件を取ってくる部隊です。

膨大な分析に裏打ちされた、切れ味鋭い 切り口で最適な財務戦略を採択し、クライアントに提案します。

投資銀行部内にはM&AやIPO、株や債券の発行など、それのみを扱う専門部隊がいて、案件が取れたあとは彼らや弁護士、会計士などと密に相談しながらクロージングまでディレクションをします。

このように投資銀行業務全般を扱うのでオールラウンダーと言えます。

ちなみに「投資銀行部」は英語でInvestment Banking Devision、略してIBDと呼ばれます。「投資銀行」だと長くてまどろっこしいので、バンカーはIBDもしくはIBと呼んでいます。

なお、超絶激務・高給で有名なのはこの部署のことです。

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その2. 資本市場部

資本市場本部は株式を扱うエクイティ・キャピタル・マーケットと、債券を扱うデット・キャピタル・マーケットに大別されます。

①エクイティ・キャピタル・マーケット

略してECM(イーシーエム)と呼ばれています。 クライアントに対して、エクイティ性の資金調達(IPOや公募増資等)の提案及び案件の執行を行っています。

投資銀行部がオールラウンダーなのに対して、ECMはエクイティ関連のスペシャリストです。

また、投資銀行部とは別に自分たちで営業をして案件を獲得することもあります。

②デット・キャピタル・マーケット

略してDCM(ディーシーエム)と呼ばれています。

クライアントに対して、デット性の資金調達(主に社債)の提案及び案件執行を行っています。

ECMと同様、DCMはデット関連のスペシャリストです。

その3. 株式調査部(リサーチ)

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上場企業を分析し、投資家に向けてレポートを定期的に発行しています。

アナリストレポートには「買い」や「売り」などの投資評価や、目標株価などが記載されています。投資家はこのアナリストレポートを参考にして投資判断をします。

決算期は特に忙しく、担当している数十社の会社の決算説明会には片っ端から出席して、即日もしくは翌日にはレポートを出さなければなりません。

そうこうするうちに「この人の投資評価は当たる」と有名になると、他社がチームごと引き抜くこともよくあります。良くも悪くも個人のパフォーマンスに依存する仕事です。

ところで少し混みいった話をすると、株式調査部の人は同じ会社にもかかわらず、投資銀行部や資本市場本部の人と簡単にコンタクトを取ることができません。

どうしてでしょうか?

投資銀行部や資本市場本部は、まだ世の投資家に公表されていない重要事実(いわゆるインサイダー情報)を山ほど抱えています。ところが株式調査部が彼らと気軽にコンタクトが取れたらどうでしょう?世界中の投資家に情報を提供する立場にある株式アナリストが、関係者以外には極秘にされている情報をポロっと仕入れてしまう可能性があることになります。

そうならないために、同じ会社にありながら許可なくミーティングを開いたり、一緒にランチに行ったりすることができない決まりになっています。(ウォールがある、と表現します)

【番外】資本市場業務部

ECMやDCMが扱う案件において多数の文書を作成しなければなりませんが、その作成を一手に引き受ける部署で、バックオフィス部門のひとつです。ドキュメンテーション業務とも呼ばれます。

作成する文書というのは契約書だけではなく、証券取引所や投資家に向けて発行する目論見書などの書類作成も含まれます。

スキームの理解に加えて各種法律に習熟し、過去の案件の事例なども勘案して正確で間違いのない文書を作成する必要があるため、やはり高度な専門性が要求されます。

最後に

「投資銀行の仕事をわかりやすく説明してみる」記事でしたが、いかがだったでしょうか。

なかなか目に触れる機会の少ない仕事ですので、ご存じなかった方も多かったかと思いますが、なんとなく全体感はご理解いただけたのではないでしょうか?

もっと投資銀行を目指す人、憧れる人が増えると私としては望外の喜びです。

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