2018年2月14日更新 2017年5月8日公開
医師・弁護士に並んで三大士業とされる公認会計士。
会計士といえば給料高い、「先生」と呼ばれる、社会的ステータス高い、独占業務などが良く知られるところですが、法人向けサービスを提供しているために一般にはあまり知られていません。
税理士はよく聞くけれど、公認会計士って一体なにする仕事なの?
そんな方も多いことでしょう。
そんな公認会計士について、気になる年収から仕事内容、税理士との違いまで、どどんと解説したいと思います。
なお、公認会計士の転職については下記の記事が詳しいのでよろしければどうぞ。
★公認会計士に人気の転職先はどこ?
★公認会計士の難易度ってどれくらい?
★公認会計士はぶっちゃけモテるのか?
★公認会計士の就職事情について解説
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公認会計士の5大魅力
まずはなにはともあれ、公認会計士の魅力についてから語るべきでしょう。
ということで、会計士の5大魅力を挙げたいと思います!
魅力1. 新卒の年収が500万円!総合商社やメガバンなんて目じゃない
公認会計士は、会計のプロフェッショナルとしてクライアントに高度な専門サービスを提供しています。
その対価として、企業からは数千万円〜数億、巨大企業相手だと数十億円もの規模の高い報酬が監査法人に支払われます。
中でも主な業務は財務諸表監査になりますが、報酬が高い理由は、これが会計士の独占業務だからです。
結果として、公認会計士は入社6〜8年目で1,000万円以上の年収を得られます。
年収1,000万円という数字はひとつの高給のバロメータで、メガバンクの行員だと10年目前後、5大商社で8年目前後と言われています。
ゆえに会計士の年収がいかに高いかお分かりいただけると思います。
また、外資系企業ほどインセンティブに寄った給与体系ではなく、年次が上がれば確実に給与に反映されるというのも魅力の一つです。
これは職種の性質上、勤続年数に従って専門知識が深く・広くなるという前提だからです。
魅力2. 安定した仕事!社会的ニーズも高いスキル
次に公認会計士の魅力として「安定性」・「将来性」が挙げられます。
公認会計士の主要業務である監査業務は、会計士のみが許された独占業務になります。
資格を持っていない人が監査業務をすることはできないので、その地位が危ぶまれることはありません。
また、「英語」「会計」「プログラミング」はグローバルビジネスにおける3大言語といわれています。
公認会計士はその一つである会計のエキスパートですから、監査業務のみならず事業会社の財務部やコンサルティング会社、投資銀行などビジネスフィールドは多岐にわたり、社会的ニーズの高い資格・職業と言えます。
魅力3. 社会的地位が高い!正義感・使命感の強い人にオススメ
公認会計士は、医師や弁護士と並び三大国家資格と言われています。
「先生」と呼ばれる数少ない職業の一つでもあり、社会的ステータスの高さが伺えます。
それは、公認会計士は会計のエキスパートとして企業運営を支えるだけでなく、株式市場の健全性を担保する一翼も担っており、社会的影響の大きい職業だからです。
会計士が少しでも善から逸れたとしたら、株式市場を震撼させる巨悪となってしまいます。
かつて米国においてエンロン・ショックと呼ばれる米史上最大の倒産劇がありました。
エンロンという米巨大企業の粉飾が白日の下に晒され、実は監査をしていたアーサー・アンダーセン(かつての大手会計事務所)もグルだったというオチの巨額粉飾事件です。
米株式市場では米上場企業に対する会計不信が広がり、監査法人の信用は一度地に落ちました。
結果として金融市場は荒れに荒れ、米国で収まりきらなかった余波によって世界中の株式市場でも株価が暴落するという事態になりました。
このように公認会計士は社会に及ぼす影響が大きい分、果たすべき責務も重いといえ、高い社会的地位はその実情を反映していると理解できます。
魅力4. ワークライフバランスが取れる!メリハリのある働き方
会計士の仕事は一年を通して見ると波がある職業です。
主業務の監査は企業の決算発表と連動しており、特に本決算の多い3月末からはとても忙しくなります。
一方で決算がひと段落する初夏あたりには長期休暇をとる習慣があり、10日から2週間ほど休暇を取って海外旅行するということも珍しくありません。
このように会計士の仕事はオンオフの切り替えが肝要になってきますが、総じてワークライフバランスに優れた職業と言えます。
メリハリをつけて働きたい人にとってはとてもフィットする仕事だと思います。
魅力5. 女性も活躍できる!ママ会計士も働ける環境
公認会計士の世界に男女の別はありません。
有資格者として公平にビジネスの機会が与えられます。
もちろん給与面や昇進においても性差なく平等に扱われます。
実際に第一線で活躍されている女性会計士も多数おり、男性に勝るとも劣らない働きぶりで評価されています。
また社員の福利厚生にも厚く、結婚や出産後における環境もきちんと用意されていて長く続けやすい職業と言えます。
公認会計士とは「市場の番人」
公認会計士は、独占業務である「財務諸表監査」をはじめ、専門知識を駆使して様々な分野で活躍することができます。
また、企業のグローバル化に伴って海外で活躍する公認会計士も増えています。
ここでは、公認会計士の独占業務である「財務諸表監査」を中心に、幅広い活躍のフィールドの一部をご紹介します。
財務諸表監査(独占業務)
財務諸表監査とは、企業等が作成する貸借対照表などの財務諸表が、その企業の財政状態や経営成績を適正に表示しているか否かを、独立した第三者的な立場で判断し、意見を表明する一連の作業のことです。
企業等にとって最も大切な「社会的信用」を支えていると言っても過言ではありません。
公認会計士が監査を行うことにより、企業を取り巻く利害関係者は信頼性の高い情報を得ることができ、様々な取引を安心して行うことができるのです。
公認会計士が、またの名を「市場の番人」と呼ばれる所以です。
内部統制監査
内部統制監査とは、企業内部のリスク管理や業務分掌、意思決定ルールなどの内部統制システムについて、その機能の状況を評価する業務です。
内部統制システムが本来どうあるべきか、正しい知識を持つ公認会計士だからこそ適切な評価・助言を行うことができるのです。
コンサルティング
会計・財務に関する専門知識や経験を活かし、企業の経営全般にわたる助言や指導を行う業務です。
より高品質なコンサルティング・サービスで企業経営をサポートし、企業のあるべき姿を共に考え、エクセキューション(=実行)まで支援するコンサルティングサービスを提供しています。
近年このコンサル業務のニーズが急速に増えてきており、今後ますます会計士の活躍が期待されるフィールドでもあります。
IFRS関連サービス
IFRSとは国際会計基準のことで、世界的に多くの国で採用されている会計処理のルールのことです。
日本でも金融庁が導入に向けて積極的で、産官学で導入に向けたディスカッションが進んでいるところです。
各国の対応に差はあるものの着々とIFRS統合への流れが強まっており、会計のエキスパートである公認会計士の活躍できる新しいフィールドとされています。
IFRSについては詳しく後述しますので、そちらもどうぞ。
公認会計士と税理士はなにが違うの?
税理士と公認会計士の業務は、どちらもお金を扱うという意味においては似通っており、同じようなものでしょと誤解されている方が多いようです。
しかし、実は業務内容は大きく異なります。
公認会計士も税理士もそれぞれが独占業務を持っており、仕事内容について明確に線引きをされています。
税理士とは
税理士の中心業務は、税務署に提出する申告書の作成業務はもちろん、経営者側の立場に立って最適な経営アドバイスを行うことです。
日本には約7万人の税理士が存在していて、申告業務のみを行う税理士は現在減少傾向にあります。
税理士も人気職種ですが、公認会計士のように事務所に所属するひとよりも個人で活動する人が多いです。
したがってなかなかのレッドオーシャンの様相を呈していますので、今後は「業界専門の経営アドバイス」や「資産・相続専門」など、エッジの効いた専門性をアピールできることが重要になってきます。
公認会計士は税理士にもなれるよ
会計士は税理士登録をすることが可能で、登録さえすれば税理士や行政書士としてその独占業務も行うことができます。
税理士になるのは公認会計士の試験を受かるのと同じくらい難関ですから、これは大変お得です。
一方で、実は逆はできません。
つまり、税理士だからといって公認会計士登録はできないのです。
税理士が公認会計士になろうとすると、新たに公認会計士試験に合格しなければなりません。
「難易度も甲乙つけがたい資格同士なんだったら、税理士よりも会計士資格を取った方が良いじゃないか」と考える人も多いのですが、実際に会計士が税理士登録をしたところで税務の専門知識が税理士ほど深くないので十分な税務サービスを提供できず、思ったほどのメリットはないとも言われています。
会計士と税理士の違いまとめ
なんとなく会計士と税理士の違いについておわかりいただけたでしょうか?
まとめると要は、税理士は相談者の側に立って税務に関する依頼を独占的に引き受けるエキスパートであり、公認会計士は企業の財務諸表や内部統制に関する監査を行うエキスパートであるということです。
ぼんやりとお分かりいただけたところで、実際に具体的な依頼内容をいくつか挙げながら、これは公認会計士と税理士のどちらに依頼すべきなのか見ていきたいと思います。
これで一段理解が深まると思います。
★依頼その1. 会計処理に関する相談
一部の大企業ではIFRS(=国際会計基準)の導入が進んでいることから、会計処理に関する相談ニーズが増えており、さらに今後本格化する分野と見られています。
今回は会計処理に関する相談ということなので、素直に公認会計士に相談しましょう。
税理士でも相応に知識はありますが、懇意にしている税理士でもいない限り会計士に相談するのが無難です。
なお、日本の税務では日本の会計基準に基づいて作成された決算書をベースに税金を計算します。
つまり、会計処理と税務とは切り離されているので、税理士の出番は別のところになります。
★依頼その2. 節税などの税務に関する相談
税務相談は税理士の独占業務になりますので、税理士に相談しましょう。
★依頼その3. 記帳の代行
個人事業主の場合には「経理はまるっと全部お任せしたい」という方も多いです。
記録・保管はかなり面倒ですし、複雑ですからね。
こういった記帳に関する相談はどちらでも構いません。
会計士も税理士も両方エキスパートです。
ただし、日々の記帳には消費税などの税務に関する知識が不可欠になってきます。
一応会計士も税務は一通り修めていますが、なんといっても奥が深いのが税の世界。
税務業務の経験を積んだ税理士にお願いするのが確実でしょう。
★依頼その4. M&Aに関する相談
M&Aの際にはバリュエーション(=企業価値評価)や財務DD(=デュー・デリジェンス。財務精査のこと)が必要になってきます。
いったいいくらで買うべきなのか、適正な会計処理をしている会社なのか、企業結合に際して問題になる論点はないか、などについて専門家に十分に調査をしてもらう必要があります。
ここは会計士が得意とする分野ですので会計士に相談しましょう。
ただ、M&Aに際しては財務DDと同様に税務DDも実施しますので、税理士含めたチームアップが肝要です。
★依頼その5. 経営に関する相談
これは会計士・税理士のどちらでも問題ないでしょう。
ただ、経営に関する相談といっても公認会計士と税理士では得意分野が異なります。
例えば企業規模。
本業で扱う企業として税理士は割と中小企業が中心で、公認会計士は比較的規模が大きい会社がメインとなってきますので、あなたの企業がどのくらいの規模かで得意不得意が変わってきます。
また、ひと口に「経営」と言っても相談内容は多岐に渡りますので、もう少しブレイクダウンして考えたときのフィット感で判断するのが良いかと思います。
例えば節税などの税務面中心に経営のパフォーマンス向上を目指すのであれば当然税理士の方が強いですし、あなたが財務戦略やM&Aを軸とした経営の意思決定アドバイスを求めているなら会計処理が大きな論点になりやすいので公認会計士の方が適切といえます。
最後に
以上、公認会計士の仕事内容について解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
財務のエキスパートとして企業を支える会計士でもあり、株式市場の秩序を守る良心でもあります。
真っ先に年収に目が行きがちですが、そうした正義感・使命感こそが公認会計士の矜持であり、やりがいに繋がる部分です。
なかなかハードルの高い職業ですが、3,000時間を費やしてでも獲得する価値のある資格であることに間違いはありません。
興味を持たれた方は目指してみるのも良いのではないでしょうか!
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