2018年2月14日更新 2017年3月20日公開
数ある投資銀行のなかでも、特に大きな投資銀行を「巨大投資銀行」と書いて「バルジブラケット」と呼びます。
そんなバルジブラケットの一角であるメリルリンチをご存知でしょうか?
米国の「庶民の証券会社」として発達してきたメリルリンチですが、今日の投資銀行業界ではゴールドマン・サックスと並んでグローバルトップティアの規模を誇っています。
老舗投資銀行のメリルリンチも、世界の金融の中心米国で古くから活躍してきました。
本稿では、そんなメリルリンチに転職をお考えの方に向けて、年収や評判、激務度、採用事情、そしてかつてバンクオブアメリカ(バンカメ)に買収される事態となったメリルリンチの現在の復活ぶりについて、解説したいと思います。
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その他のバルジブラケットについてはこちらの記事をご参照ください。
★ゴールドマンサックス
★モルガンスタンレー
★JPモルガン
★野村證券(投資銀行部)
メリルリンチはグローバルトップティアの投資銀行
「メリル」の愛称で呼ばれるメリルリンチは、1914年にチャールズ・E・メリルによって設立され、ウォール街で営業を始めました。
世界38カ国に進出し、顧客から運用を委託された預り資産の総合計は1兆8,000億ドルに上っています。
企業や個人投資家だけでなく、機関投資家や政府にまでアドバイザリー・サービスを提供する世界的な投資銀行です。
また、メリルリンチ擁するバンカメ(=バンク・オブ・アメリカ)グループは米国最大の総合金融グループですので、グローバルの知名度も抜群となっています(後述)。
メリルリンチの年収
メリルリンチはゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなどと並んで業界トップティアに名を連ねます。
当然年収も一級で、メリルリンチの新卒年収は700万円、3年目にはボーナスを服えると年収1,000万円を超えてきます。
大変高給ですが、年俸制ですので残業代は出ませんし、家賃補助や福利厚生にも期待できない点には留意が必要です(外資系投資銀行はどこも同じですが)。
ネット上では下記のような具体的な年収例も見られます。
今は全体的にベースサラリーが上がっていると思うが、当時はアナリスト1年目のベースサラリーは600万円から始まり、2年目750万円、3年目900万円、アソシエイト1年目1,200万円、2年目1,350万円、3年目1,500万円、4年目1,800万円という感じだったと思う。
バイスプレジデント以降のベースサラリーは実際に経験した訳ではなくあくまで伝聞情報だが、バイスプレジデント2,700万円、ディレクター3,600万円、マネージングディレクター4,800万円程度という話を聞いたことがある。
出所:Volkers
ベースサラリーは役職によって決まっており、基本的には年功序列で毎年役職が上がるにつれベースサラリーも上がっていく。
リーマンショック以前はベースサラリーを大きく上回るボーナスが支払われていたが、過度なボーナスに対する世間からの批判の高まりを受け、リーマンショック以降はボーナスを下げ、一方でベースサラリーを上げている。
出所:Volkers
余談ですが、野村証券など一部の日経投資銀行では「なんちゃって外資系」が導入されてしばらく経ちました。
当初、新卒年収650万円という型破りな雇用体系は業界で衝撃を以って受け止められましたが、近年ではそれも市民権を得ています。
しかし、なんちゃって外資系の経済条件を具(つぶさ)に見てみると、日系証券でその他多数を占める総合職への配慮が抜けきれず、ちぐはぐしたものとなっているのは事実です。
実際、給与体系の日系回帰が始まっており、外資系水準で雇用されるポジションも年々縮小しています。
今後日系投資銀行がどこまでなんちゃって外資水準を維持できるかは完全に不透明といえます。
何が言いたいかって?
外 資 系 は や っ ぱ り 本 物 が 良 い よ ね
ということです。
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メリルリンチの合コン事情
メリルリンチは外資系投資銀行のトップティアですから、もちろん合コンでは引っ張りだこです。
理知的、若くて高給、仕事ができる、肉食系というイメージが女性にウケる理由です。
メリルリンチのある東京駅界隈にはモルガン・スタンレーやJPモルガン、シティバンクなどが入居しており、外銀狙い合コン女子にとっての生け簀(?)となっています。
メリルリンチがある日本橋は、江戸時代に両替商や呉服商などさまざまな店が大通りに軒を連ねていたことを起源として、日本の経済の中心として成長してきた街です。
伝統だけではなく、日本橋COREDOを代表として落ち着いた雰囲気の大人の街としても人気なことから、「伝統」 × 「一流企業が集まるオフィス街」 × 「オシャレ街」ですので、まさに合コンの開催地としてふさわしいエリアといえるでしょう。
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メリルリンチの業績
出所:メリルリンチ オフィシャルサイト
上図は日本における2015年度と2016年度の業績です。
2016年度(右側)は、
・株の引受けやM&Aでの売上が358.4億円
・トレーディングによる売上が97.2億円
そして、それらを含む売上合計は499.8億円となっています。
メリルリンチへの転職
グローバル、そして日本で存在感のあるメリルリンチですが、メリルに転職するチャンスはあるのでしょうか?
答えは「もちろん」です。
外資系ですので人材の流動性は大きく、中途採用のニーズは通年であります。
常に新陳代謝を繰り返しながら、若返り・多様化・人財の強靱化を図って成長していくのが外資系投資銀行です。
ただし、一方で昨今の外資系投資銀行業界には逆風が吹いており、日本は戦略的エリアとなっていないことが通常です。
つまりリーマンショックのような事態に陥った場合には真っ先に撤退の俎上に乗るのが東京ブランチです。
ここ数年の投資銀行における採用は微減しており、業界全体でもバンカーの数が減少しています。
そしてその傾向は外資系で顕著に見られます。
実際メリルは日本橋Coredoを3フロアに渡って占拠しておりましたが、2016年に1フロアを減らすなど、厳しい環境に置かれていることも事実です。
■とはいえバンカー業務は無くなることのない知的労働、ビズリーチ!
3分でざっくりわかるメリルリンチ
メリルの母体、バンク・オブ・アメリカは世界最大の総合金融
メリルリンチは2008年のサブプライムショックにおいて巨額の赤字を出し、事実上の経営破綻に追い込まれました。
そのため、翌年の2009年1月に米大手銀行のバンカメ(=バンク・オブ・アメリカ)に総額500億ドルで買収されることになります。
現在ではウェルスマネジメント部門は引き続きバンク・オブ・アメリカとして、投資銀行部門はバンクオブアメリカ・メリルリンチの名で営業しています。
買収したバンカメは世界最大の金融機関の一つであり、個人、中小企業および大企業を顧客として、銀行業務、投資業務、資産運用業務など幅広い金融サービスを提供しています。
40カ国以上で顧客事業を展開しており、米国だけでも約5,100万の個人や小規模企業の顧客と取引を行っています。
日本におけるメリルリンチ
メリルリンチ日本証券の役割は、バンクオブアメリカ・メリルリンチの日本における法人顧客事業の拠点として、企業や金融機関、政府機関に向けて
- 投資銀行業務・資本市場業務
- 金融市場業務(株式・債券のトレーディング)
- リサーチ業務
など、幅広いアドバイザリー・サービスを提供することです。
日本のメリルリンチには654名が勤務しています。
ゴールドマンサックスと比べると人数が少ないですね。
メリルリンチ日本証券のグループ内での位置付け
図をご覧いただければお分かりになるとおり、日本のメリルリンチは本国のバンカメから見て曽孫(ひまご)会社ということになります。
日本での沿革
メリルリンチの日本進出は早く、1964年にメリルリンチのスイス法人が東京に駐在員事務所を設置したことが始まりです。
8年後の1972年にはメリルリンチ証券東京支店が開設され、外国証券として最初に証券免許を取得しました。
その後、東京証券取引所の正会員権を取得し、株式の直接売買に参入。
1986年には米国本国の持株会社「メリルリンチ・アンド・カンパニー」が東証外国部に上場し、知名度アップを図ります。
メリルリンチにとって大きな転機となったのは、1997年に起こった山一證券の経営破綻です。
当時四大証券の一角を占めていた山一證券が巨額の簿外債務を抱えて自主廃業しました。
その受け皿になったのがメリルリンチで、山一證券の営業基盤を引き継ぐ形で日本でリテール取引に本格進出しました。
買収当初は山一證券の営業マンを大量採用したことでも話題となり、その数は山一證券の支店網の大半、およそ2,000人にも上りました。
1998年に「メリルリンチ日本証券」を設立して証券免許を取得、リテール分野での勢力拡大を目指しました。
その後、富裕層との取引へと重心をシフトしていきます。
そんな順風満帆なさなか、2002年には金融庁から空売り規制への違反を理由に行政処分を受け、思わぬ足踏みをするハメになりました。
三菱UFJグループと提携、JVを設立
2006年5月には再び大きな転機を迎えます。
日本最大の大手金融グループである三菱UFJフィナンシャル・グループと提携し、共同出資で「三菱UFJメリルリンチPB証券」を設立しました。
三菱UFJの大きなブランドを活かし、個人の富裕層と中堅企業との取引を獲得していくことが狙いです。
メリルリンチはリテール部門を分割し、三菱UFJメリルリンチPB証券に営業譲渡をしました。
これによりメリルリンチはリテールと訣別(けつべつ)し、投資銀行業務に専念することができるようになりました。
以降はホールセール専業の証券会社となっています。
なお、その後の2012年末、三菱UFJメリルリンチPB証券の全株式を三菱UFJグループに売却し、メリルリンチは日本国内のリテール部門から撤退しています。
調査部門の評価はトップクラス
インスティテューショナル・インベスター誌による日本の調査部門ランキングでは、メリルリンチの調査部門は常に1、2位を獲得しています。
また、アセット誌による日本のベストディールとして、2012年の日本航空による6,630億円の規模の新規株式公開が、そして2013年にはソフトバンクによるスプリント・ネクスト買収(買収金額:216億ドル)が、メリルリンチのアドバイザリー案件として選出されています。
ブラックロックと経営統合、資産運用の分野でもトップティアに
2006年にメリルリンチは世界最大級の資産運用会社であるブラックロックとの経営統合を果たしました。メリルリンチの出資比率は49.8%です。
ブラックロックは当時から米国最大の株式公開投資運用会社の1つとして知られており、現在でも世界トップクラスの資産運用会社としてのブランドを獲得しています。
統合当時のメリルリンチの資産運用額は5,440億ドル、ブラックロックは4,527億ドルでしたので、PMI(買収後の統合)で1兆ドルを超える世界最大規模の資産運用会社となりました。
ブラックロック統合の狙い
メリルリンチにとって資産運用ビジネスの拡大は大きな戦略課題でした。
ブラックロックと合併することにより、メリルリンチの資産運用部門を世界有数の資産運用機関のひとつに押し上げることが狙いでした。
統合によりメリルリンチの資産運用額は2倍になり、大きくプレゼンスを拡大することに成功しています。
また、シナジーは資産運用額だけではありません。
メリルリンチの米国における最大規模のリテール販売体制と欧州・アジアにおける知名度の高さは、世界的なホールセールの顧客基盤をもつブラックロックにとって垂涎のアセットでした。
メリルリンチがバンカメに買収されてからは支配権がバンカメに移り、現在ではブラックロックの資本の3割超をバンカメが保有するようになっています。
最後に
メリルリンチの解説記事、いかがだったでしょうか。
世界最大級の金融グループに属するトップティアの投資銀行ということで、今後も揺るがないブランド力を堅持していくことでしょう。
グローバルでは世界有数の資産運用力をアピールしており、今後の動向に目が話せません。
このように、今や外資系投資銀行への就職・転職ならメリルリンチは外せない存在となっています。
就職・転職をお考えなら是非アプライされることをお薦めします。
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