2021年6月25日更新 2017年2月26日公開
医師・弁護士と並んで三大国家資格と呼ばれる公認会計士。
監査法人に入社して6〜8年目くらいから転職市場での市場価値が高まり、30代中頃でピークを迎えます。
会計の専門家である公認会計士へのニーズは高く、常に事業会社は有資格者を探し求めています。
監査法人対応の必要な上場企業にとっては監査人と対等にディスカッションが出来る会計士出身者が欲しいですし、IPO間近のスタートアップにとっては上場がかかった重大な場面でCFOを採用したいと考えます。
とりわけ英語に堪能であったり、事業経験のある会計士は市場価値が一段と高く、年収1,500万円のラインが見えてきます。
ただ、公認会計士と一言でいっても玉石混交です。
本稿では、同期入社の中でもエースと目されるエリート公認会計士たちが、キャリアをどのように考え、そしてどのような転職先を選択するのか、そのあたりについて迫ってみたいと思います。
会計士は安定した職業ですので普段キャリアを考える機会はそう多くないものですが、ふと立ち止まって今後のキャリアアップを考えた会計士諸兄に届けば良いなと思って記事にまとめました。
- 公認会計士は自分の市場価値の高さをちゃんと知るべき
- 公認会計士が転職したら年収は上がるの?
- 公認会計士の転職に年齢制限なし。でも幅を広げるなら30代が目安
- 英語ができる公認会計士は喉から手が出るほど欲しい
- エリート公認会計士の転職先
- まずは自分の市場価値を知ろう
- 会計士の最短キャリアアップとは
- 最後に
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公認会計士は自分の市場価値の高さをちゃんと知るべき
一般的なビジネスマンであれば、実力に応じた昇給やインセンティブ給があったり、同僚がより良い待遇を求めて転職をする姿を見聞きするにつけ、
「自分はもっと給料もらっても良いはず!」
とか、
「なぜあいつが昇格するんだ!」
などということを考える機会に溢れています。
しかし、会計士はひとたび監査法人で働き始めると、安定した待遇や社会的地位の高さ、監査業界という狭い業界の中でのルーティンワークのせいで、自身の人材価値を測る機会を見失いがちです。
そもそもパートナーではない現場の会計士はさしたる競争環境にさらされていません。
顧客の上場企業は「先生」などと呼んでくれますし、自分ひとりの活躍で監査報酬が増えることもないのです。
誤解を恐れずに言うと、良くも悪くもどこか役所に似たのんびりさがあるのは事実です。
仕事が遅いとか雑だとかという意味では無く、キャリア観が、です。
しかし、監査業界から目を離して一般企業を見てみると、財務・税務・コーポレートファイナンスのプロフェッショナルは渇望されていることをご存じでしょうか。
次代の経営者候補であったり、重要な財務ポジションの席は常に用意しているのに、肝心のそこに座れる人材がなかなか現れない。そう、例えば会計士のような、、、
そんな状態が実はずっと続いているのです。
企業価値について考えられる人材は内製しづらい
なぜこうしたミスマッチが放置されているのでしょうか?
原因として挙げられるのは、企業価値について考えられる人材は社内から輩出しづらいということ。
経営者の最大の関心事は「企業価値を向上させるにはどうすれば良いか。そのためにヒト・モノ・カネの最適な分配はどうあるべきか」です。
現場からの生え抜きが多い日本の経営層の場合、ヒトとモノについては深く考えることが得意なのですが、残念ながらカネについては門外漢が多いのです。
そして経営者が門外漢な場合、財務や企画職でそうした専門職が育つ土壌はありません。
誰もやり方がわからないので、なんとなく「大学で経営学部だったから」という理由だけで手探りでカネ周りを担当している、という財務担当も珍しくないのです。
しかしROE重視の経営も根付いてきた昨今、効率的な投資で将来のキャッシュフローを戦略的に作るという考え方が重要になってきており、いよいよカネ周りの専門的知見をいれなきゃという雰囲気は醸成されてきました。
コーポレートファイナンスの視点から企業価値向上を見直すことのできる人材、それが今求められています。
そうしたギャップに対して白羽の矢が立っているのが公認会計士なのです!
事実、会計士の争奪戦は激化しており、待遇も年々良くなっています。
現在は完全に売り手市場な状態が続いています。
もしも監査法人ではなく一般企業で真価を発揮したいと思うのならば、すぐにでも転職活動を始めるべきでしょう。
あるいは、特に意思はなくとも転職サイトに登録してみることをおすすめします。
「うわっ…私の年収、低すぎ…?」と感じるに違いありません。
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公認会計士が転職したら年収は上がるの?
もちろんケースバイケースですが、上がる可能性はとても高いです。
もともと会計士は高給の部類ですが、事業会社にとっては貴重で獲得したい人材だからです。
ただし留意が必要で、これまで漫然と監査業務をやってきましたという人にとっては少し期待外れな結果が待っているかもしれません。
事業会社が欲しいのは監査業務のできる人材ではなく、その財務会計の専門知識をつかって企業価値を作りにいける人材なのです。
つまり、監査法人へ説明できる合理性の範囲内でどこまでアグレッシブな財務戦略をとれるか立案できたり、M&Aにおいて財務DDや税務DDの陣頭指揮ができたり、形骸化している経営管理にメスを入れて重要な経営上の気付きを与えられる仕組みを構築したり、渦中の企業に乗り込んで内部統制の構築プロジェクトを推進できたりするような、そんな人材を期待されているのです。
あるいは、英語に堪能であればIFRS対応を任せたいというニーズもありますし、事業経験があるなら新規事業の立ち上げにも引っ張り込まれるでしょう。
スタートアップも公認会計士の採用に積極的です。
創業期には財務バックグラウンドが必要となる場面は多くないのですが、IPO目指して中盤、すなわち1億円を超える調達をする頃には経営者も財務担当を手元に置いておきたくなっています。
調達額が単ラウンドで1億円を超えるようになるとベンチャーキャピタルからの調達が視野に入ってきます。
調達先としてエンジェルや事業会社を卒業し、ベンチャー投資専門のVCと交渉が始まります。
事業計画書やバリュエーションに関しての交渉はそれまでと一変してシビアになってきます。
経営者がいくら調達に時間をかけたところで事業が成長するわけではないので、経営者としては一刻も早く調達を終わらせたい、あるいは誰かに引き継ぎたいと考えています。
そこで白羽の矢が立つのが会計士です。
もちろん調達の経験はないかもしれませんが、DCF的な思考法や資本構成の考え方について多少の理解があればあとはOJTで構いません。
そういう人材なら転職市場も大歓迎で、マネージャークラスなら年収1,000万円ならまず下らない、部長クラスなら1,500万円からのオファーを受け取れることは間違いありません。
ただの会計士ではなく、エリート公認会計士が欲しいということですね。
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公認会計士の転職に年齢制限なし。でも幅を広げるなら30代が目安
結論から申しますと、会計士からの転職に年齢制限はありません。
ですが、決断は早いに越したことはありません。
監査法人は年次とともに専門知識が蓄積されていく業種ですので、常に学びのある環境と言えますが、一方で弱点もあります。
そのひとつは、例えば事業経験の有無です。
会計士は様々な業種に関わって監査をしますが、監査の視点と経営の視線は当然異なります。
つまり、消費財メーカーの監査をしたからといってマーケティングのノウハウが蓄積されるわけではないのです。
たとえば「マーケティングを強化しましょう」と言うは易しですが、実行力や想像力が伴わないため、頭でっかちになってしまいがちです。
そうした弱点に鑑みた場合、いつまでも監査業務を続けるのはハッキリいって機会損失でしかありません。
会計士として生きていくという場合を除けばさっさと転職してしまって、財務会計の知見にレバレッジをかけつつ新しい仕事を吸収する方が、はるかに早くハイクラス人材へ近づけます。
そうすると、自ずと転職のタイミングというのは見えてきます。
転職市場では、監査業務で中堅とされる6年〜8年目、年齢でいうと30歳前後がセカンドキャリアのスタート地点となり、30代中盤にかけて市場価値がピークに向かいます。
40代になると新しい経験を積める機会が一気に減りますので、キャリア形成上はもったいないと言えます。
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英語ができる公認会計士は喉から手が出るほど欲しい
公認会計士としてコモディティ化しないための英語
日本企業の中では、次第に日本会計基準のIFRS化や、米国会計基準のIFRS化が進んでいます。
一方で、これから急速にIFRS化が加速するのは火を見るより明らかなのに、まだ公認会計士の中でもIFRSに詳しいエキスパートが少ない状態です。
なぜなら英語に堪能でないと、海外事例の把握や海外の監査法人との連携が難しいからです。
公認会計士試験合格者に英語が堪能な人が多くない傾向にあるのも一因でしょう。
会計に特化して勉強してきているため、英語を学ぶ優先順位・インセンティブが低いのです。
そもそも英語が得意であれば、会計士になる以外にも職業選択の幅は広かったといえるかもしれません。
すなわち一般に会計士に英語が得意な人は少ない傾向にあると言えます。
もちろん英語を駆使しなくとも会計士として活躍の場はあります。
一方で英語が不得手な結果、会計士になった瞬間に周りの同世代と同質化、コモディティ化してしまうという課題もあります。
クライアントに提供できる強みが会計以外には特にない、と。
異業種交流の場ではエッジの効いた「会計士資格保持者」も、監査法人内ではいち社員でしかないということです。
ただ、中には稀有な人材もいて、監査法人に入社したときに英語が堪能(TOEICで900点とか)な人もゼロではありません。
そういう人材がいると、社内ヘッドハントで監査法人のIFRS部隊に編入されます。
IFRS部隊はエース会計士の集まるエリート集団
そもそもIFRSや米国会計基準を採用している企業は日本の中でもまだ一部で、だからこそ日本有数の巨大企業に限られます。
そのためIFRS要員ということはすなわち、それら重要顧客を任されるということです。
また、会計ができて英語も堪能というのは、もはや単に会計も英語もできますという以上の意味を持ちます。
そもそもの思考力が高く、粘り強く、頭の回転が早いエスタブリッシュな人材というシグナリングです。
当然、同期の中でも頭2つくらい出るような存在で、同世代の中でのエースです。
同期がOJTで細分化されたタスクをやっている時期に、早くも大きなプロジェクトを任されることになりますし、社内の覚え(評判)が良いのも事実です。
公認会計士になるような人は、勉強自体が得意というのはもう間違いありません。
そこで、周りの会計士から1歩でもリードしてコモディティ化を避けるべく、日夜英語レベル向上を図るのは大変費用対効果の高い投資と言えます。
英語のできるエリート会計士は市場価値が高い
このように会計士として稀有ということは、事業会社にいたっては英語のできる会計士は絶滅危惧種だということです。
監査法人に高い報酬を支払ってIFRSの相談をするくらいなら、その人材を要職に据えてじっくりプロジェクトに取り組みたいと考えています。
だからこそ監査法人のIFRS部隊にいるよりも待遇が良くなるのは明白なのです。
また、海外展開を加速する企業が増えるにつれて国際会計事務所を中心に移転価格税制などの国際税務の案件も増えています。
今はまだ税務の経験は無くても、一定の英語力さえあれば公認会計士がこうした国際税務案件でアサインされることもあるので、英語力の研鑽は無駄になりません。
他にもSPCやM&Aの税務分野では底堅いものがあります。
監査法人でファンドの監査やDD(デュー・デリジェンス)に関わっていた会計士にとっては、これまでの経験を活かしやすい転職と言えます。
◾️会計士 × 英語はユニークな人材への第一歩、マイナビ会計士!
エリート公認会計士の転職先
英語・会計・プログラミングが3大グローバル言語と言われる通り、会計士の活躍できるフィールドは多岐に渡ると説明してきました。
では、公認会計士の中でもエリート層が転職をする場合どのようなキャリアパスを描くのでしょうか?
成功例とされる転職先と、そのキャリアアップをするためにはどのような会計士を目指すべきなのかについても触れていきたいと思います。
公認会計士から財務・会計系コンサルティングへ転職
大手上場企業のIFRS導入や内部統制支援が挙げられます。監査法人でIFRS導入企業を監査した経験があると有利です。
また、M&A関連であればデューデリジェンス業務も重要な仕事です。上場企業がスタートアップを買収する事例が増加しており、それにともなって財務DDやビジネスDDの機会は増えています。
スタートアップ向けですと上場準備会社のIPO支援なども主たる業務になります。
これらの業務は監査業務の知見がダイレクトに生きるというよりも、その周辺領域を含めた幅広い知見が求められます。監査法人で中堅やベテランまで在籍するよりも、最短で3年程度の経験であれば即戦力として認められます。
これらの業種は景気に左右されやすいものの、不況でも必ず一定数の募集はあるため、求人は安定しています。
給与水準に関しては相対的に高いコンサル事業ですので、年収アップが期待できることも多いです。
もっとも、コンサル系であれば戦略系外資コンサルの方が給与水準は高くなります。
公認会計士から外資系コンサルへ転職
外資系コンサルへの転職も人気があります。
デロイトトーマツやあずさのように、監査法人の中にはコンサル部門を有しているところもあります。
求められるのはやはり財務会計の知識による財務コンサルを始め、事業全般のコンサルについてもアサインされます。
もともと会計士になるポテンシャルがある人材ですので、未経験のコンサル業界とはいえキャッチアップが早い傾向にあります。
とりわけIFRS関連ではコンサルへの相談が増えている一方で、それに対応できる人材が枯渇しており、引き続き転職市場においてアピタイトな状況が続いています。
ただし、外資系投資銀行と同様に英語に抵抗感がない程度には英語力が必要ですので、会計士資格ホルダーということに甘んじることなく研鑽を忘れないことが肝要です。
最低でもTOEICで860点を持っておきたいところです。
(なお860点は決して英語が得意と胸を張れる点数ではありませんので、積極的にアピールするのは危険です)
年収については、当然外資系コンサルの方が高給です。ジュニアスタッフ(6年目まで)なら1,000〜1,200万円、シニアなら1,500万円〜となります。
一方、監査法人系のコンサルはもう少し下がります。
外資系コンサルの7〜8掛けくらいが目安と言えます。
公認会計士から投資銀行へ転職
会計士の転職先として人気の一つに外資系投資銀行があります。
リーマンショック以降冷え込み続けたM&A市場も2012年以降は回復しており、それに伴って投資銀行を中心にブティック系ファームやFAS(会計系アドバイザリーファーム)などが採用に意欲的となっています。
投資銀行ではM&Aやファイナンスをあつかいますので、財務会計に明るい会計士有資格者は重用されます。
実際に会計士からの転職組も一定数いて、私も投資銀行時代に仕事でご一緒したことがあります。
例えばIFRSがらみの論点などでは、バンカーの知見がまだ厚いワケではないため会計士に確認を取る必要があります。
チームに会計士出身者がいれば、いちいち会計事務所に確認を取らなくてよくなり、その分クライアントに早く回答ができます。
このスピード感は投資銀行にとって明確な競争優位に繋がります。
その場で回答できるか、あるいは翌日の回答になるかでディール獲得の確度が変わってしまうほどです。
それだけバリューが高いということですね。
投資銀行への転職のポイントとしては、財務DDやバリュエーション業務にアサインされた経験など、何らかの形でM&Aに参画していたかどうかが加点ポイントになります。
監査法人にいる間に、積極的にこうしたM&A案件へアサインしてもらうようアピールすることが投資銀行への近道になります。
また、財務・会計のテクニカルなスキルだけでなく、経営者の事業にかける想いをくみ、緊迫する現場でも信頼関係を醸成する能力も必要になってきます。
なお、投資銀行の仕事は激務になりますので、ワークライフバランスとは無縁の生活になります。
会計士にとっては驚く現場かもしれません。
しかし投資銀行は高給な会計士をはるかに超える超高給で有名ですので、会計士の中でも有力な選択肢の一つとされています。
年収の目安ですが、アナリスト(3年目まで)で1,500万円、アソシエイト(6年目まで)で2,000万円、マネージングディレクター(いわゆる部長)までいくと5,000万円 + 獲得案件からのインセンティブといった感じです。
◾️取り得が財務・会計だけだと会計士でもあっさり選考に落ちる、マイナビ会計士!
公認会計士から財務経理部へ転職
事業会社における公認会計士の求人では、上場企業の財務部が圧倒的多数を占めています。
近年、とりわけ大企業においては、財務諸表の作成を担う財務部・経理部において会計に関する高度な専門知識を有する公認会計士の人材獲得がアツくなっています。
背景としては、企業の国際化・複雑化にともなう会計基準の高度化が挙げられます。
財務部の主な業務のひとつは監査法人対応です。
企業の方針を正しく理解し、会計処理に落とした上で毅然と主張をする、場合によっては監査法人と意見調整を行える。
会計基準が複雑化しようが、国際対応を求められようが、常にキャッチアップして対等に渡り合える。
そんな人材が求められており、だからこそ知識・経験の裏付けがある公認会計士が待望されるのです。
また、超低金利の昨今では資本構成はデットに比重を置くほうがWACCが下がり、企業価値を向上できるという市況にあります。
現在は直接金融の活発化であったり、金融工学の発展により、調達手段は多様化しております。
同じデットでも、何も考えずに銀行から融資を受けるのではなく、自社にあった調達手段を採択することでもWACCを下げられます。
要は、たとえば伝統的な製造業や商社などの巨大なバランスシートを管理する大企業では、財務戦略の考え方ひとつで企業価値を左右させられるということです。
企業価値というと、すぐに売上や営業利益などといった収益性にどうしても視点が集まりがちですが、それは手段の一角でしかないことは読者の皆さんにとっては自明のことでしょう。
市場環境や自社のおかれた状況、資金調達の必要期間等を勘案し、最適な資本構成をどう考えるか、それに向けてどのように資金を調達していくべきか、そうした財務戦略を構築する必要性が高まっているのです。
このように、事業部の頑張りで企業価値を上げていくだけではなく、財務戦略から企業価値の向上を立案できるような人材は非常に付加価値が高く、そうした観点からも会計士には優位性があるといえます。
実際に、たくさんの会計士がメーカーや商社などで活躍していることがその証左です。
一方で、そうした人材を内部で育成するという動きもあり、確かにそれも重要です。
事実、財務部にはプロパー(=叩き上げ)の社員も多く在籍しています。
しかし、OJTで会計の専門家になれるかというとそれはさすがに無理な話です。
やはり体系的・網羅的に専門知識を蓄え、実務経験を積んできた会計士ホルダーのような人材こそが真に活躍できる世界です。
したがって財務部部長のポジションに関しては、やはり会計士ホルダーが就くケースがほとんどです。
なお、業界知識や商慣習などに詳しいとキャッチアップも早いため、応募する業界を担当していた会計士であれば特に評価が高くなります。
給与水準ですが、財務・経理系は企業差はそれほどなく、どこもオファーは近しいものと考えて良いかと思います。
上場企業の財務部のスタッフ(非管理職)への転職であれば年収は600〜800万円が一般的です。
これがマネージャーや管理職になると800万円〜1,000万円、部長クラスになれば1,200万円〜1,500万円ほどが目安になります。
ちなみに財務部部長は、経営企画部部長と並んで企業の中での出世コースのひとつでもあります。
なぜなら、財務部の最大関心事である財務戦略は、企業価値に影響を与えるほどのインパクトを持っているからです。
経営企画部部長がCOO(最高執行責任者)であるとするならば、財務部部長はCFO(最高財務責任者)にあたります。
それだけ組織のトップに近いということです。
実際、会計士が経営企画部長になるケースも多いです。
これはやはりコーポレートファイナンス(自社のWACCの把握やROIC経営などが身についているため)や経営管理に強いためです。(後述)
なお、財務部については下記の記事が詳しいです。
公認会計士から経営企画部へ転職
会計士は、その計数能力の高さを買われて経営企画部からラブコールをもらうケースもあります。
経営企画部は、財務部とは似て非なる部署です。
経営企画部の最大ミッションのひとつは予算作成になります。
各事業部から違和感のない事業計画を拾い上げ、経営陣の意向と調和させながら全社戦略を策定しなくてはなりません。
そのためにも財務の知見は必須です。
また、M&Aを取り扱うのもここ経営企画部です。
例えば、DDに入る前に対象会社の事業計画を簡易に調査するのですが、限られた時間内で違和感を感じ取れる鼻を持ち合わせている人材は貴重です。
仮にそこで違和感を見つけられたならば、本DDのコストを支払わなくて済みますので、数千万円に値する仕事ができたということになります。
こうしたことから、経営企画部は他の部より多少待遇は良いケースが多いです。
スタッフ(非管理職)で600〜800万円、マネージャーや管理職で800〜1,200万円、部長クラスで1,500万円というのは財務部とそう変わりませんが、昇給・昇格が早いのが特徴です。
なぜなら、財務経理は新卒も配属されたりするので母集団が多く、上が詰まっていますが、経企が務まる人材自体が少ないため、能力があればグイグイ上がっていきます。
また、他の部署と異なり、経企はその仕事柄、戦略会議や取締役会などで登壇することもあるため、マネジメントへの覚えがよくなることも一因です。
年度末の役員による人事評価会議にて、本来は他部署などとバランスを取る必要がありますが、名前と実績が知られていると取締役や他部署の部長から理解が得られやすくなるためです。
◾️実は財務部より経営企画部の方が活躍のフィールドが広い、マイナビ会計士!
経営企画部については下記で詳しく解説しています。
公認会計士からスタートアップへ転職
ここ最近IPO環境が活況となっていますが、上場に際して財務経理の体制構築は必須です。
足腰のしっかりした財務体制を作るため、スタートアップにおける公認会計士の求人は増えています。
ベンチャーでは、提言だけでなく業務執行能力も問われます。
いわゆるベンチャーマインドをもった人材が好まれるということです。
すなわち財務・会計の知識だけでなく、主体的に業務を推進できる会計士であれば間違いなく重宝されます。
スタートアップでは、やはりどうしても上記の職に比べると待遇面では劣後してしまします。
エンジニアやディレクターなど、事業をつくる人材が優先されてしまう傾向にあるためです。
ただ、上場間近のフェーズであれば社内体制も揃ってきていて、財務面の重要性も増してきます。
スタッフ系なら600万円程度でしょうか。
3年程度の事業経験があれば800万円以上の求人も出てきます。
スタートアップでは数字よりもビジネスに強くなければなりません。
「数字」はビジネスの一部でしかないのです。
その点には留意が必要です。
まずは自分の市場価値を知ろう
転職するしないに限らず、自身の市場価値を知ることがなによりも大切です。
私は適正な評価・待遇を会社から受けているのだろうか?
給料に見合った価値を会社に提供できているだろうか?
ご自身のキャリアを考えるには、まずは「現状を知る」ことが肝要だからです。
転職エージェントに登録
では実際に市場価値を知るにはどうすれば良いか、あるいは公認会計士から転職しようと思ったらどう動けばよいのか。
まずは転職サイトに登録することが第一です。
登録して求人を探しましょう。
あるいは転職エージェントを探して相談することから始めましょう。
転職サイトにもシチュエーションによって向き不向き、強み弱みがありますので、いくつか複数登録することがコツです。
マイナビ会計士【★★★★★】
会計士に特化した転職といえばマイナビ会計士が有名です。
マイナビ自体は大衆向けですのでこの読者層には合わないと思うのですが、会計士に特化している点で支持されています。
「特化」にはマイナビの本気が見られて、登録するとメールもしくは電話にて本人確認がきます。
そこまでやるところはほとんどありません。
だからこそ間違いなく会計士しか登録されていないという信頼感が生まれ、優良な案件を獲得してこれるのですね。
もちろん利用は完全無料です。
会計士であれば、ひとつ目の登録サイトとして外せません。
マイナビ会計士の詳細は こちら
ビズリーチ【★★★★★】
ハイクラス転職といえばビズリーチです。
私も投資銀行から転職する際はこちらを利用し、満足度が高かったです。
無料会員でも十分使えますので特に転職活動に支障はないのですが、有料会員になればスカウトメールをより多く受け取ることができますので転職の選択肢が広がります。
特別な事情がなければビズリーチを避ける理由はないでしょう。こちらも外せません。
(2、3サイトに登録することが一般的です)
ビズリーチの詳細はこちら
なお、ビズリーチについては下記の記事が詳しいです。
JACリクルートメント【★★★★☆】
JACリクルートメントは転職マッチング市場で最近急激に評判を高めている企業です。
現在はリクルートエージェント、DODAに次いで業界3位になります。
手堅い大手からベンチャーまできっちりカバーしており、特に個人的には高報酬案件に強い印象を持っています。
また外資系への転職支援を強化している点も特徴です。
JAC Recruitmentは世界8カ国(イギリス・シンガポール・中国・タイ・マレーシア・インドネシア・香港・韓国)に拠点があり、グローバルな転職サポートを行っています。
英文レジュメの無料添削や英語面接対策、中国語話力のレベルチェックなど、様々なサポートがあるので心強い存在になることは間違いありません。
JACリクルートメントの詳細・登録はこちら
なお、転職サービスについてはこちらに詳しくまとめています。
会計士の最短キャリアアップとは
さて、ここまでエリート会計士の転職について書いてきましたが、少し視点を変えて「会計士ということを最大限レバレッジして、最短で経営者まで駆け上がるにはどうすればよいか」ということも知っておきたいところです。
経営者を目指すということに絞って、最短のロードマップを描いてみました。
こちらではエリート会計士が具体的にどのように監査法人でキャリアを積み、どのような転職をすればよいかを書いています。
是非こちらの記事もご参照ください。
最後に
ここまで公認会計士の転職について説明してきましたが、いかがだったでしょうか?
公認会計士は自身の高い市場価値をもっと認識すべきで、必ずしも監査法人に留まることが幸せかというと、そうではありません。
今後も会計士のニーズは高まる見通しです。
監査法人に留まることなく、外部へのキャリアパスを模索してみてはいかがでしょうか?
★公認会計士が最短でキャリアアップする方法
★エリート会計士が転職で使う転職サービスまとめ
★公認会計士の難易度は?
★公認会計士から外資系投資銀行に転職する方法を徹底解説!
★公認会計士にこそ花形エリートの経営企画部をオススメする理由