2018年2月14日更新 2016年12月25日公開
外資系投資銀行への応募者はたくさんいるものの、通過するのはそのわずか1%未満。
日夜、わずかな席をめぐっての熾烈な争いが繰り広げられています。
一方で、面接官が期待することと応募者のアピールポイントとの間にズレがあることも少なくありません。
有能な候補者でもアピールどころを間違えて面接官に刺さらなかった、なんていう不幸はこれで終わりにしたい!
ということで、面接官が知りたいと思っているポイントや、面接官が応募者に期待することなど、若手ながら外資系投資銀行で面接官をやっていたこともある筆者が、外銀での転職面接について徹底解説します。
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最低限の知識・勉強は必要
投資銀行への面接準備をする前に、業界のことや財務・会計などについて、最低限の心得・知識があるかどうか今一度確認しましょう。
未経験でも良いとはいえ、何もわからない状態では、そもそもなぜ投資銀行に興味があるのか説得力が伴いません。
ということで、ある程度の業界・会社の知識や財務・会計について、以下の通り目安をまとめてみました。
投資銀行についておさらいする
投資銀行を目指されている方にとっては今更感がありますが、今一度投資銀行についておさらいをしておきましょう。
意外に気づいていないこと、知らないことがあったりするものです。
頭でっかちに決めつけや主観が入らないよう、多様な方面から知識を入れるようにしたいですね。
本ブログでは下記のエントリーで詳述しています。
★外資系投資銀行に転職する方法
★投資銀行の仕事をわかりやすく説明してみる
★投資銀行部門(IBD)の普段の仕事を説明してみる
投資銀行の主要プレーヤーについて知る
投資銀行業界にも有象無象のプレーヤーがいます。
外資系トップティアから国内ブティック系投資銀行まで20くらいはあるでしょうか。
もちろん全て知っている必要はありませんが、そのうち外資系3つ(ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、JPモルガン)、日系3つ(野村、大和、SMBC日興)くらいは各社HPや書籍、決算資料、直近の有名なディールなどを調べておきましょう。
なお、最近の投資銀行の成績を調べたい場合は「リーグテーブル(League Table)」を参照するのもひとつの手です。
リーグテーブルとは、International Financial Reviewという雑誌が定期的に発表している世界の投資銀行のランキングのことです。
一定期間の間に扱った案件数や案件額など、一定の算定基準に基づいてランキングを出しています。
投資銀行ではこの指標を気にしており、クライアントに営業する際にはこのリーグテーブルをプレゼン資料に必ず入れるほどです。
成績が悪い期でも、条件をあれこれ付け加えて自社がトップになるように調整することも多いです(←注釈を小さく付けるのでウソは言っていない笑)。
なお、私がまとめた投資銀行ランキングの記事はこちらになります。
バリュエーションのやり方
転職の面接において、直接バリュエーションの方法を質問されたりすることはあり得ません。
しかし、例えば「最近の気になったM&Aは?」といった質問に対して、どうして気になったのかを考える際に知っていると話しやすかったりします。
例えば、「シナジーを鑑みて簡単に計算したが、本件の買収価格はとても割安なディールに感じた」といった具合にです。
新卒採用の場合ですら、インターンでバリュエーションの講義を半日して、残り丸1日かけてグループワークで架空の会社の買収価値を算出させたりします。
即戦力として期待される中途採用ですから、新卒になんて負けていられませんよね。
といっても肩肘張らず、「DCFとは」「マルチプル法とは」を押さえておけば良いでしょう。
企業価値評価の薄い入門書を一読すれば十分です。
なお、関連記事はこちらです。
会計・財務では簿記2級以上がマスト
会計については簿記2級レベルは最低でも必要です。
資格を持っている必要はありませんが、取れと言われてすぐ取れる程度には理解している必要があります。
といっても、初学者でも1ヶ月あれば取れてしまう程度のものですので構える必要はありません。
財務についてはコーポレートファイナンス(企業財務とも呼びます)について勉強しておきましょう。
企業価値評価と合わせて1冊入門書を読んでおけば大丈夫です。
TOEIC860点以上がマスト!?
さて、気合いの入れどころは英語です。
TOEICでは860点が最低ラインだと思ってください。
なぜならば新卒が入社までに取得させられる最低点がこの点数だからです。
860点というと大学受験を頑張ってきた人なら数ヶ月やり直せば取れる点数です。
860点はビジネス初級レベルと言われていますが、じゃぁ外人と話せるかというと全然フレーズが出てこなかったり、ヒアリングにも苦労するくらいの点数でしかありません。
ただ、それ以上は入社後にも継続的に研鑽すれば良いだけなので、面接の段階では最低限860点あれば不利に働くことはありません。
なお、履歴書には860点以下は書かない方が良いでしょう。
むしろ、その点数だと書くと不利になる可能性があります。
その場合は履歴書には書かず、
英語は人並みにやってきました。
TOEICは特に取る必要性がなかったので、これまで受けたことはありません。
海外出張や旅行で英語圏に行くことがありますが、特に不便に感じたことはありません。
ビジネス英語に不安は感じていませんが、得意であることに越したことはないので、入社までに猛勉強します。
とでも言えばそれ以上の追求はありません。
ただし、外銀ではネイティブ並みの日本人も結構いて、たまに「じゃぁ英語でやってみようか」と言語を変えてくる人がいるので注意が必要です。
その場合に備えて英語面接対策はしておきましょう。
転職エージェントから情報を収集しよう
面接は準備段階で8割成否が決まっていると言っても過言ではありません。
では、その面接に向けて具体的にどのような準備をして本番に臨めば良いのか、その辺りを解説していきます。
普段からエージェントを探しておこう
面接では、
数ある業界の中で、どうして投資銀行を希望するのか?
その中でも投資銀行部門を希望するのはなぜか?
どうしてゴールドマン・サックスでなくてはならないのか?
という質問は必ずされます。
例えばゴールドマン・サックスを受けるのであれば、業界におけるゴールドマン・サックスのポジショニングや強み、そして採用状況をしっかりと把握しておく必要があります。
業務内容の理解やプレーヤーの違いなどは活字(書籍やネット記事)だけだとなかなか腹落ちしないものです。
そのために是非、投資銀行業界において転職支援の経験豊富なヘッドハンター(転職エージェント)をうまく活用したいものです。
情報収集に加えて、履歴書の添削や模擬面接などもウェルカムなので、たくさん質問してたくさん吸収しましょう。
なお、優秀なエージェントは必要になってから探してすぐ見つかるものではありません。
転職をまだ考えていない段階からアプローチを始めて、自分に合うエージェントを探すのが社会人としてのスタンダードになっています。
実際、外資系投資銀行では新卒で入社したらまずハイクラス向けの転職サイトに登録するというのは当たり前でした。
■外資系御用達のビズリーチについてはこちら
これは、いざという時のために良いエージェントを確保しておくという理由以外にも、良い案件があったらすぐに教えてもらうため、自分の市場価値を定期的に把握するため、という理由もあります。
エージェントの使い方、優秀なエージェントの見つけ方についてはこちらにまとめていますのでご参照ください。
タフさとフィット度のアピールが何より大事
投資銀行では一人前になるまで、新人一人当たり実に年間数千万円以上の教育コストをかけています。
高給ではあるものの未経験だと身につけるスキルが多いため、数年間は会社も辛抱強く教育してくれます。
面接官はその多額の投資をするのに見合う人材かを見極めなくてはならず、リスクを負っているのです。
ところが投資銀行はご存知の通り、ブラック企業もケツをまくって逃げるレベルに激務です。
ゆえに入社後に「スピード感についていけない」、「嫌気がさしてしまった」、「体調を壊した」、「社風がイメージと違っていた」となってはとても困るのです。
そうしたミスマッチを避けるため、新卒採用も中途採用も、かなり厳しい選考になっています。
私が新卒で就職活動をしているときは30分の面接が22回(面接官は毎回違う)、合計11時間分の面接をしました。
中途採用では回数はそこまでではありませんが、それでも3〜5回ほどは行います。
なお、中途採用の面接回数が少ないのは、
- 転職エージェントが微妙な応募者には応募させなかったり、別の企業を勧めるため
- 入社後にセクターを選択する新卒と違って中途採用ではセクター(=担当業界)ごとに募集することから、面接官がセクターバンカーに限られるため
という事情があります。
そうした背景を考えると、自ずと採用プロセスを通して何をアピールすれば良いか見えてきます。
何はともあれ、まずはタフさと業界・企業とのフィット感です!
地頭の良さとか経験などはアピールすべきポイントですが、そのあとです。
面接だけではなく、履歴書においてもここを十分意識して記述しましょう。
これまで困難な状況や絶望的な状況でも奮起した経験などがあればどんどんアピールすべきです。
大事なことなのでもう一度言います。
彼らが欲しい人材は、例え理不尽な状況でも根を上げずに笑顔で「Yes, Sir!」と言えるような人、そして最後までしっかり目的を完遂できる人なのです。
分かりやすく言うと、困難な状況を「シビれる」と笑える人材かどうかです。
なお、どれだけ激務かについてはこちらの記事でイメージを固めてください。
志望動機を整理する
巷ではたくさんの就職・転職向け書籍が出ていますが、志望動機を整理する上で大切な点を抽出すると下記になります。
- 将来成し遂げたいことはなにか
- それはなぜか(もしくはそのきっかけは何か)
- なぜ投資銀行でなくてはならないのか
- なぜゴールドマン・サックス(仮)でなくてはならないのか
- 入社したら1に向けて何をしていきたいか
志望理由において、地に足のついていないことや小難しい理屈を話すと必ず突っ込まれて、多くの場合そこで撃沈します。
タフさとフィットさが最重要なのですから、面接官にとってはこの志望理由が最も大切な判断理由になります。
たかだか300文字程度の文章とは考えずに、エージェントにも見てもらいつつ時間をかけて強固なものを作り上げるようにしましょう。
面接で聞かれる質問例
ここからは実際に面接で聞かれる質問を挙げていきます。
基本的に投資銀行ではオーソドックスな質問ばかりです。
万が一、オーソドックスではない質問があったとしたら、それはもう交通事故にでも遭ったと諦めて、精一杯アドリブで対処しましょう。
- なぜ金融業界を希望するのか
- なぜ弊社を希望するのか
- 前職での仕事内容は何か
- これまででリーダーシップを発揮した経験は
- 今までに何か成し遂げた経験はあるか
- 自分の長所と短所は何か
- これまでで最も困難だった出来事は何か。また、どうやって乗り越えたか
- 入社後のキャリアプランについて
- 最近気になったディールは何か
これらの質問に対して、ロジカルに答えられるようにしておきましょう。
間違っても地に足のついていない説明や、矛盾が指摘されるような説明をしてはいけません。
エージェントと模擬面接を何度もやって、スラスラと説明できるように準備しましょう。
指の先まで神経を尖らせ、例え緊張していても、仕草や表情をコントロールできるくらいまでの余裕を持てるようになっていれば合格です。
面接本番編
最後はいよいよ面接本番編です。
準備してきたことが100%発揮できるようメンタルを整え、相手の求める人物像を演じることが求められます。
また、特に外資系投資銀行となると英語面接も覚悟しなくてはなりません。
この章では、そうした面接本番と英語面接についてまとめていきます。
面接官が求めるコミュニケーション能力とは
よく聞く「面接ではコミュニケーション能力(=コミュ力)が必要」とはどういうことでしょうか?
多くの人はこの“コミュニケーション力”というフワッとした言葉を曖昧に捉えており、「俺はコミュ力が高い」などという不思議な思い込みをしているケースが見受けられるのは残念なことです。
友達が多いとか、飲み会でウェーイとやることでは決してありません。
面接官が求めるコミュニケーション能力とは、
- 自分の伝えたいことを適切に表現(=言葉や表情、ジェスチャー)する能力
- 相手の伝えたいことを適切に理解する能力
です。
投資銀行では部署内外での折衝・交渉が日常茶飯事です。
自分よりも寝ていないM&Aチームに対して、ストラクチャーを固めてスライドを作ってくれと、今夜も寝ないでくれと、頼まなくてはなりません。
なぜ今それが必要なのか、何をして欲しいのか、どこまでなら妥協できるのかを説明して納得してもらう必要があります。
社内ならまだしも、カウンターパートのFAとの交渉となると更にシビアです。
このように、どんなに困難な交渉であっても相手の言い分を理解しつつ、それとは異なるこちらの意見をすり合わせることがバンカーには求められます。
入社後にその能力が備わっていないことがわかってしまうということがないように、実際には面接で何重にも確認をしているのです。
見られているポイントは①面接官の質問の意図を適切に汲み取れているか、②質問に対する回答になっているか、③話の内容はロジカルか、の3点です。
これらは一朝一夕で身につく能力ではありませんが、そのポイントを見られていると強く意識することで不用意な発言を未然に防ぐことができます。
英語面接対策
外資を受ける場合、気になるのはやはり英語面接でしょう。
なにも面接が日本語だけとは限らないのが外資系です。
外国人バンカーが面接官として入ってくることもありますし、面接官が日本人だったとしても、ネイティブ並みに英語のできる人が突然英語に切り替えて質問してくることもあります。
そんなときに慌てなくて良いように、しっかりと事前に準備しておくことが肝要です。
というのも、上記のよくあるテンプレートの質問以外を英語で聞いてくることはないと思ってください。
ですので事前に英語版の回答を用意しておけば乗り切ることは可能です。
(あなたがネイティブ、もしくは英語が得意であれば、ここで会話が盛り上がるかもしれませんね)
また、書類を通過している時点で他の候補者とスペックは大差ないと信じましょう。
あなたが多少英語が苦手でも、他の候補者だってあまり得意でない可能性も大いにあります。
少なくともあなたが面接に呼ばれたのは、英語スキルをディスカウントしたとしても、例えば前職での財務の経験であったり、顧客をグリップしていた経験など、別のところに魅力を感じたからに他なりません。
英語はこれから猛勉強するとしつつ、本当のアピールポイントをセールスすべきです。
イングリッシュカフェで対策するのがリーズナブルでおすすめ
英語面接用の対策ですが、近くのイングリッシュカフェがオススメです。
お金があれば大手の英語スクールへ通えば良いのですが、お金と時間がそれを赦さない状況もおありでしょう。
その点、イングリッシュカフェはタイムチャージではなく月額行き放題でリーズナブルな料金プラン(1ヶ月10,000円〜20,000円)のところが多いです。
イングリッシュカフェの安さの秘密は、①チューターは学生の場合が多いこと、②マンツーマンではなくグループチャットであることが挙げられます。
ただ、タイミングによっては他の客がおらず、マンツーマンで出来ることもよくありますので、そのときはお得ですね。
仕事終わりにそこに毎晩通いつつ、週末にビジネス経験のあるチューターにマンツーマンレッスンを依頼(1hあたり2,000円〜4,000円)するのがオススメです。
そこで面接での質問とその回答に対して、英語で添削を受けるのです。
注意したいのは、文書で添削を受けるとどうしても書き言葉になりがちなので、きちんと口頭での面接用であることをチューターに伝え、模擬面接をお願いするようにしましょう。
英語でのビジネス経験がなければ、最初は紙を見てもしどろもどろになると思います。
しかし10回話せば大体詰まらずに話せるようになり、20回話せば紙を見なくても言えるようになります。
30回も音読すればずいぶん発音やアクセントが良くなり、相手の表情を見ながら抑揚やジェスチャーにも気を使えるようになるでしょう。
そこまで準備できれば合格です。
最後に
外資系投資銀行の転職面接を突破する具体的な方法、いかがだったでしょうか?
外資系投資銀行への転職はなかなか難易度が高いのですが、きっちりと準備をすればあとはぶつかるだけです。
最大の敵は面接官ではなく、この程度でいいかなと妥協してしまう自分、やっぱり無理だろうなと諦めそうになる自分、今の状況で満足しようと本音を偽る自分です。
外資系投資銀行への転職を考えているということは相当な成長志向の持ち主であると思料します。
こんなことでヘコたれず、「シビれるわw」なんて笑いながら、夢に向かってどんどん挑戦して行きましょう!
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