2018年2月14日更新 2016年12月5日公開
もっと速くエクセルを操りたい!
もっとエクセルを使いこなして意味ある分析をしたい!
エクセルを触ってはいるけど結局何をしているのかよくわかっていない!
日頃そのように感じているビジネスマンは多いのではないでしょうか?
「エクセルといえば投資銀行」といわれるようになりつつある今、外資系投資銀行でエクセルマスターとなった筆者が、エクセル作業に習熟するための秘密を解説します!
圧倒的スピードはどうやって身につけたのか、構成のクリエイティビティはどこから生まれるのか、あなたの疑問の答えがここにありますよ。
なお、エクセルを極めすぎた外資系バンカーのちょっと変なところについてはこちら。
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投資銀行のバンカーはエクセルのプロフェッショナル
素晴らしいプレゼン資料というものは、
- ダイナミックな仮説を立てるところからスタートし、
- 重厚なデータセットを揃え、
- それを鋭い切り口で分析し、
- 何度もドラフト資料に赤を入れてメッセージを推敲し、
- そして最後に美麗な見た目で整えられた
プロフェッショナルのアウトプットのことを言います。
そして、エクセルとパワーポイントのプロフェッショナルといえば外資系投資銀行です。
珠玉の提案書を生み落とすべく、外資系投資銀行のバンカーは歯を食いしばりながら日々PCにかじりついています。
なぜなら資料作成過程の大半がエクセルワークだからです。
ジュニアバンカーは朝から夜中までエクセル・パワーポイントと格闘する日々を送っているのです。
その結果、手前味噌ながらどの業界のどのビジネスマンよりも、エクセルとパワーポイントを使いこなしている自負があります。
そのひとつの証左として、今や外資系投資銀行のエクセルワークを伝授する書籍がビジネス書コーナーに溢れています。
とはいえ、息を吸うようにエクセルを操らなくてはならないバンカーも、最初から上手に扱えたわけではありません。
入社直後はみんなズブのド素人でした。
この記事を通して、外資系投資銀行の現場ではエクセルがどのように使われているのか、素人だった彼らがどのようにして一流のエクセルマスターになっていくのか、さらにエクセルを極めるために普段からどのようなことを実践しているのか、といったことをお伝えできればと思っています。
では以下で具体的にエクセルワークを早くする方法について書いていきます。
1秒の作業スピード向上に徹底的にこだわる
バンカーの心構えとして最も重要と言っても過言ではないのが「作業スピードの向上を徹底する探究心をもつこと」です。
これはテクニカルなこと以上に重要な事として、繰り返し先輩から叩き込まれますので、一番最初に持ってきました。
投資銀行では入社して半年もすればあらかたエクセルワークがなめらかになり、スピードや正確性も格段に上がってきます。
でもそれで終わりかというと全くそんなことはなく、引き続きエクセルハックを続けていかねばなりません。
作業時間が半分になる、より拡張性のあるエクセル設計ができる(別のシーンで使い回す時に作り直す手間が減る)といった大幅に効くエクセルハックはあらかた習得しているため、ここからは絞りきった雑巾をさらに絞るような作業になります。
それが「1秒の改善にこだわれ」という教えなのです。
マウスをぶっこ抜く
エクセルワークを早くする手っ取り早い方法は、とにかくマウスを使わないことです。
これは決して冗談を言っているわけではなく、マジなお話です。
マウスは補助輪
どういうことか説明しましょう。
キーボードからマウスへ手を動かす時、まず目線がマウスに移動します。
それから手元がキーボードからマウスに動くわけです。
これがとても無駄な動作になります。
しかもエクセルを使っている間中、呼吸する回数ほどこの移動を繰り返さなければなりません。
マウスは、あくまでショートカットを使えない人が直感的に操作するためのツール、いわば自転車の補助輪だということを再認識することが肝要です。
マウスを使っている限り、到底早くはなれないのです。
今こそ変革のとき
動作のロスという問題だけではありません。
意識の問題も介在します。
マウスを使わない手段の方が圧倒的にパフォーマンスが上がるということを知らないという事実。
無知は罪です。
そして、知っていた場合はさらに悪い。
なぜなら、マウスに甘んじてパフォーマンスをないがしろにしているということだから。
さぁこれを読まれたあなたも、今日この日から意識改革です!
バンカーはマウスを使ったら負け
一方、投資銀行のバンカーならどうでしょう。
マウスを使わざるを得ない状況に直面したら、まずブラウザで「エクセル 文字色を変更 ショートカット」と調べます。
そうして徹底的にショートカット化していくのです。
例えばエクセルのシート名を変えたい時、エクセルの罫線を消したい時、セル色を変更したい時、ピボットテーブルを作成したい時、値貼り付けがしたい時などなど。
すべてショートカットで覚えています。
投資銀行に入社したての頃は同期でよくショートカットクイズをしたものでした。
ですので、エクセルやパワポの操作を早くしたいならばマウスを使わなくても良いようにとにかくショートカットを覚えるということが肝要です。
よく使うものは、早ければその日中に覚えてしまいますので、少しずつコツコツ増やしていきましょう。
1度作ったものは2度と作らない
エクセル作業とはいっても、毎回オリジナルのものをゼロから作るということは考えられません。
前回作成したものをアップデートしたり、過去に作ったものの別バージョンを作ることだったり。
バンカーはとにかく自分の睡眠を確保するために1秒を惜しんでいますので、過去に作成したことがあるものを2度作ることはしません。
どうにかして二次利用(あるいは流用)で乗り切れないかと創意工夫をします。
例えば資料でよく使う株価チャートは最初に作った時に汎用性を持たせてテンプレート化しておきます。
つまり、銘柄のティッカーを変更したら自動で欲しい株価を取得できるように設定しておきます。
次第にPERやEV/EBITDA倍率なんかも必要になってくることもわかってくるので、別シートでそれも自動で出るように組んでおきます。
そうしてどんなシチュエーションでも対応できる株価チャートファイルが出来上がるというわけです。
バンカーはそうしたフォーマットを独自でたくさん保有しています。
優秀なバンカーほど、どんな問い合わせが来ても「その資料はないけど、ちょっと修正すれば使えるやつなら持ってるよ」という返事が返って来たものでした。
厳格なフォーマットルールを作る
投資銀行ではプレゼン資料を作るにあたって非常に細かく形式(フォーマット)が定義されており、そのルールを厳格に遵守して作成する必要があります。
1年目の段階でこれを徹底的に叩き込まれ、2年目で身についていないと大目玉を喰らうことになります。
投資銀行で定められているフォーマットを抜粋すると、例えば下記のようなものがあります。
実際にはこれよりはるかにたくさんあります。
- 「強調色には"赤:○○ 緑:△△ 青:□□"の濃青色を使いなさい」という具合に、使用できる色がすべて決められている
- 文字サイズは10.5にする
- 英数字は「Arial」、日本語は「MS P ゴシック」にする
- 数字はカンマで区切る
- セル内の数字の色は使い分ける(数字のベタ打ちセルは青、計算式のセルは黒、参照しているセルは緑)
- ファイル参照をしない
フォーマットが厳格な会社はエクセルワークが強い
では、なぜ厳格にフォーマットを定めて全社員が遵守する必要があるのでしょうか?
それはひとえにプレゼン資料の作成効率を上げるためです。
全員が身につけることで、
- 分担作業が可能になる
- 計算ミスが減る(チェックが容易になる)
- 資料を使い回すことができる
といったメリットがあり、ひいては最終的に顧客の満足度と信頼を獲得できるのです。
1. 分担作業が可能
分厚いプレゼン資料を作る場合に大切になってくるのは、資料の見た目の統一性です。
内容がいくら良いものを作ったとしても、見た目がちぐはぐな資料を見ていると頭に入ってきづらくなるものです。
他社は内容も見た目も最高のものを提案しているはずで、見た目を疎かにした時点で大きなビハインドを背負ってしまうのです。
例えばフォーマットルールが曖昧もしくは無い場合、強調色に赤を使うような派手派手しいページにする人もいれば、8ポイントくらいの小さい文字サイズでギッシリ書く人も出てきます。
その人たちで共作の資料を作ろうものなら、ページ単位で別人が書いたものというのがすぐにバレてしまい、ちぐはぐなチームで頼りないという印象をクライアントに与えてしまうのです。
一方で、フォーマットルールが厳格でそれを全員がきちっと守っている会社の場合、誰が作っても同じフォーマットで仕上がります。
したがって分担作業をしても、あたかも一人で作り上げたかのような印象を与えることができ、余計な邪念・ノイズが入ることなくクライアントは資料に集中できるのです。
2. 計算ミスが減る
エクセルを使用していて一番怖いのは、計算間違いをしてしまっていることに気付いていないときです。
最後まで計算間違いに気付かずにバリュエーションを出してしまっていたとしたら命取りです。
投資銀行では人為的ミスというものは起こるものとして考えており、この計算間違いを限りなく0に近づけるために様々な努力をしています。
その作法をフォーマットルールに落とし込んでいるというわけです。
例えばセルの中の数字の色。
これを意識してエクセルを使っている人なんて投資銀行以外にはいないのでは無いかというくらいのこだわりようなのですが、第三者のクオリティチェックのしやすさという観点から非常に大切なことです。
具体的には、所与・あるいは定数として手打ちで直接入力する数字はすべて文字色を青色にし、他のシートから参照してくる数字は緑色、計算式が入っているセルの数字は黒字にする、というものです。
なぜこのようにするかというと、作った本人ではなく第三者がエクセルをチェックする際に、どの数字がどういうロジックで出来ているのかということが一目瞭然になってチェックの負荷を大幅に和らげてくれるからです。
誰しも他人の作ったエクセルをチェックするのは時間も工数もストレスもかかって嫌なものです。
しかし、数字の由来が可視化されるだけでも構造・ロジックの理解が捗り、大きな時短になるのです。
3. 資料を使いまわせる
フォーマットが決まっていることで資料をストックすることができるようになります。
ここでいう資料とは、パワーポイントのスライドのような静的なものだけではなく、エクセルの分析用シートのような動的なものまで指します。
特に分析用のツールは作るのにそれなりに時間がかかるので、必要になってから都度作っているようでは時間の無駄です。
したがって以前に使ったものを再利用するという発想が大切であり、たくさんのストックを持っていることが優秀なバンカーの条件ともされています。
では、使い回すという前提でエクセルを作るには何が必要でしょうか。
例えば前述の文字色の決まりを守ることがここでも活きてきます。
どこの数字をいじれば分析ができるのか(=ドライバーはどのセルか)が誰でもサッと判別できるため、必要なフォーマットといえます。
こうしたメリットによって、プレゼン資料の高いクオリティコントロールが可能になるのです。
エクセルワークを早くしたいなら、部署や会社単位でフォーマットルールを作るということも検討してみてください。
終わりに
エクセル作業を爆速にする秘密について説明してきましたが、いかがだったでしょうか?
エクセルやパワーポイントは、投資銀行に限らず社会人であれば広く使われています。
毎日使用している人も多いでしょう。
習熟度が生産性にダイレクトに影響するスキルであるため、もっと使えるようになりたいという声が大きいのも事実です。
私はファーストキャリアとして投資銀行を選択し、様々なスキル・知識を得ることができました。
中でもエクセルワークを徹底的に習得できたことは、ありがたいことに転職した今でも非常に役立っています。
現職は大きな組織でありながら、エクセルで困ったことがあれば噂を聞きつけて私のところにやってくる人もいるくらいです。
投資銀行の詳しいエクセルワークについては多数の書籍が出ていますので、詳細はそちらに譲りますが、この記事をきっかけにエクセルマスターを目指す人が出てくれたならば筆者としては望外の喜びです。
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