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公認会計士の就職事情について解説【就職氷河期を越えて】

2018年2月14日更新 2017年5月9日公開

2年もの苦学を経て、なんとか難関試験を突破した公認会計士のタマゴたち。

試験合格者の実に9割以上は、公認会計士になるべく監査法人に就職を希望します。

しかし、2009年頃には会計士業界にも就職氷河期が訪れて、せっかく試験に合格しても就職できない人が大量に溢れた時代もありました。

 

そんな氷河期を乗り越えて今現在の就職状況はどうなのか?

 

本稿ではそんな会計士の就職事情についてまとめてみました。

 

就職氷河期も一服

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かつて会計士業界では、米国に比べて会計士の数が圧倒的に少ないということで、一挙に会計士の数を増やすべしという政府の要請から、大量の試験合格者を出していた時期がありました。

(なお、後に行政はこれが失策だったと認め、今は試験の難易度も昔に戻っています)

その結果、2009年度や2010年度は市場に大量の会計士試験合格者が溢れることになり、試験に合格しても就職できないという就職難、就職氷河期問題が起こりました。

今は落ち着きを取り戻したものの、「公認会計士」というブランド力に陰りが出つつあることも事実です。

特に4大監査法人(新日本、あずさ、デロイト、あらた)への就職をめぐっては熾烈な椅子取り合戦が続いています。

それは、クライアントの質と量、勤務地が複数箇所あること、コンサル業務へのキャリアパスや海外勤務などの体制が整っていることなどが人気の理由で、毎年合格者が大挙するのが通例です。

 

ビッグ4への入社は依然としてレッドオーシャン

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そうした中では、試験合格者というだけでビッグ4(=4大監査法人)に採用されることは困難です。

試験合格者の中で優秀な会計士になる素質のある人材だけが採用されるからです。

例えばコミュニケーションが洗練されている(相手の意図を適切に把握し、自身の考えを正確に伝える能力)ことや、語学力や事業会社での経験などの会計以外の強みが差別化に大きく効いてきます。

優秀な会計士はソフトスキルに長ける

試験合格はあくまでスタートラインで最低限。

上記の能力はどれも監査業務において重要なソフトスキルとなっていて、ここの有無が面接では肝要になってきます。

だってクライアントに「◯◯の資料出してください」って言っただけじゃ、財務担当者に負担を強いるだけで動きは良くなりませんし、ピントのズレたものが出てくる可能性があります。

必要だと考えている背景や理由、正当性を伝えた上で納得してもらう必要があるのです。

学生なんかに負けてられない!ビジネスに明るい人材は有利

また、会計士といえど監査企業の業務理解は必須です。

企業を理解してこそ、適正な会計基準の採用や助言が行えるというものです。

しかし実際問題、公認会計士に事業の経営・運営経験があるわけではないので、監査の対象企業の理解力に乏しいと、いつまで経っても顧客接点に立てません。

  • 対象企業の製品とはどういうものか
  • 市場環境はどうか
  • その中で対象企業の強みは何か
  • サプライチェーンはどうなっているか
  • マーケティングはどうやっているか

などなど、公認会計士が理解すべき事柄はとっても多岐に渡ります。

大変ではありますが、意識低い系会計士はそのうち淘汰されてしまう運命なのです。

そういう点では、社会人経験もビジネス経験もない学生合格者よりも、社会人経験者の方がキャッチアップが早いといえるかもしれません。

最後に

公認会計士の就職事情についてのエントリーでしたが、いかがだったでしょうか?

試験合格者の大半は監査法人へ就職できると考えて差し支えはないでしょう。

しかし、さらに踏み込んで大手監査法人への入社を目指す場合には、漫然と合格した人よりは会計業務をする上での包括的スキルを持った人や、戦略的にキャリア形成を意識してきた人材を優先されるということは覚えておかなくてはなりません(会計士に限った話ではないですが)。

 

また、今後はAI化がますます進んでいきます。

残念ながら「AIに取って代わられてしまうであろう職種」に会計士もノミネートされており、会計士といえども現状維持では人材価値を維持できない時代に突入しています。

そうならないためにも、難関の監査法人に就職できても安住せず、他の会計士にない強いを身につけられるよう日々研鑽する必要がありそうですね。